第二が「賃金の上昇が不安心理を払拭するほど力強くない」(阿部氏)こと。日本総合研究所の調査によれば、可処分所得の伸び率が雇用者報酬の伸び率を下回っている。要は、名目の給与の増加ほどは、社会保険負担増で、手取りが増えていないのだ。

 第三は、日本企業が若年層を引き付ける商品やサービスを生み出せていないこと。この面ではスマートフォンの独り勝ちだ。スマホに消費支出が集中した結果、まずデジタルカメラ、次いでPCの販売数量が、前年割れに陥った。

低欲求と保守化が特徴

 第四が若年層の意識、ライフスタイルの変化だ。阿部氏は「低欲求と保守化」が、若年層の特徴だと指摘する。mif調査によれば、自動車を保有していない人の比率を11年と16年で比べると、20代で29%→30%、30代で19%→26%と上昇し、衣類のブランド志向は、20代で43%→34%、30代で35%→34%と低下している。日本総研の下田裕介副主任研究員は「若者の間では堅実、節約家であることはクール、カッコいいという風潮がある」と言う。現在の20代、30代は人生の過半を「失われた20年」が占めているため、こうした意識の変化が起きている可能性がある。

 意識変化は構造的な変化である。もし持続的な賃上げと社会保障制度の改革が実現しても、構造変化が勝っていれば、消費は大きくは回復しないかもしれない。日本の消費の風景は、いま大きな転換点を迎えている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 原 英次郎)