アライメントとは「並び方」とか「配列」の意。車好きの方はホイール(車輪)を連想されるかもしれません。車のホイールにはサスペンションによってさまざまな方向に大小の角度がつけられており、これをホイール・アライメントと呼んでいます。この角度を適正に保つことで安定した走行が保てるわけです。
実は私たち人間の骨格も同じ目的を持ってアライメントが備わっています。骨格は数多くの骨の連なりから成り、骨の一つ一つは関節と靱帯によって結合されています。骨格アライメントとは、この骨や関節の並び方のことです。 東京大学大学院の渡會公治助教授(スポーツ医学)は「悪い姿勢や歩き方などでこのアライメントが崩れてくると体幹がゆがみ、腰痛や股関節痛、ひざ痛のほか、内臓の働きにも影響して様々な障害があらわれてくる」と言います。
特に注意したいのはスクワットをやる場合です。多くの筋肉を効率よく鍛えられるスクワットは「トレーニングの王様」とも言われ、もともとはアスリート専用のトレーニング法でしたが、昨今は一般の方にも下半身を鍛える手軽な健康法として人気を集めています。
ひざを開いて腰を落とす――。一見単純に見えるスクワットにもいくつかのセオリーがあります。それを無視してやっていると、かえってひざや腰を痛めてしまいがちです。中でも大切なセオリーが、アライメントを正しく保って行うこと。腰を落とすときには股関節を起点にひざ関節、足首の関節を同じ方向に向けて曲げるようにしなくてはなりません。この感覚になれるため、渡會先生はご自身が考案した壁体操をすすめています。やり方は、壁の直角のコーナーにお尻が触れるくらいにして立ち、両足を開いて左右の壁につけます。そのまま足、ひざ、お尻が壁から離れないようにしながら、ひざが直角になるくらいまで腰を落とします。特に我流でスクワットを行っている方は、念のためにも1度トライしてみたらいかがでしょう。