子供の頭がよくなる「遊び」ベスト10選!

 昔から受け継がれてきた子どもの遊びは非常にお勧めです。以下に紹介する遊びのなかには、私自身、子どものころに親や姉妹と遊んだものがいくつかあります。

 昔ながらの遊びは楽しいだけでなく、実行機能の発達を助けます。

 幼稚園児に週に2回、30分ずつこうした遊びをさせたところ、8週間後、子どもたちの自制心のスコアが、実験に参加しなかった子どもに比べて格段に伸びたことがわかりました。この実験は、オレゴン州立大学のミーガン・マクレランド教授らが、低所得家庭の276人の幼稚園児を調査したものです。

 重要なのは、子どもたちが遊びに慣れるにつれて内容を難しくすること(スピードを上げる、ルールを追加する、ルールを逆転する、など)。また、音や動きを使う遊びであれば、子どもが座ってじっとせずにすむので飽きません。

 実行機能を伸ばせる遊びとその特徴をいくつか紹介します。

■「自然な反応を抑える」ことを必要とする遊び

(1)フリーズ:速い曲とスローな曲を交互に入れたプレイリストをつくります。全員で音楽に合わせてダンスをし、停止ボタンを押すと、全員がストップ。スローな曲はゆっくり、速い曲はすばやく踊ります。それから今度は逆にスローなときはすばやく踊って、速い曲でゆっくり踊ります。

(2)色を合わせてフリーズ:床に、いろんな色の画用紙をテープで貼ります。基本は右の「フリーズ」と同じですが、音楽を止めるとき、止める人は色つきの画用紙のどれかを掲げます。みんなはその画用紙と同じ色の画用紙に走って、その上に立ってストップします。

(3)オーケストラの指揮:ひとりが「指揮者」になり、他の子どもが楽器を演奏します(ベル、フライパン、鍋など、道具を持ち寄って)。最初は、指揮者が指揮棒を置くと、演奏をストップするというルールで。指揮棒のスピードに合わせて演奏のスピードを変える(速いときには速く、その逆に速いときは遅く)、指揮をしているときは逆に演奏を止める、などいろいろとルールを変えてやってみて。

■「強い注意力」を必要とする遊び

(4)太鼓の音:まず、太鼓に合わせてどう体を動かすかを決めます(拍手、足を踏み鳴らす、歩く、踊る、など)。太鼓の合図にテンポを合わせて動きます。速い太鼓のときは動きを速く、遅い太鼓のときは遅く。そして、太鼓が止まれば動きを止めます。速い太鼓のときは飛び跳ねる、遅い太鼓のときは床をはう、などにルールを変えても。

(5)一列で歩く:はみださないように一列で歩く遊びです。床のフローリングの一列、カーペットにマスキングテープで幅のしるしをつける、丸太の上を歩く、など。

■「認知の柔軟性」を必要とする遊び

(6)眠れ、眠れ:親が「眠れ、眠れ」と子守唄を歌っているあいだ、子どもたちは寝たふりをします。「……そして目を覚ましたら、あなたはサルです!」と親が動物を指定し、子どもは目をあけ、その動物になりきります。

■「ひとつに集中すること」を必要とする遊び

(7)カブトムシ:車に乗っているときに、フォルクスワーゲン・ビートルを見たら、「カブトムシ!」と叫ぶ(その車の色やほかにフレーズを決めて叫んだりというルールにしても楽しいです)。

(8)あいうえお:車に乗っているときに、建物や看板など(ナンバープレートにすると速くゲームが進む)の文字を「あ」からあいうえお順に探します。

■「作業記憶」を働かせる遊び

(9)手を叩こう:色画用紙を切って、大きな四角形、丸、三角形をつくります。それぞれの形を見たときにやるアクション(例:四角形は手を叩く、丸は足を踏み鳴らす、三角形は鼻をさわる、など)を決めます。リーダーは画用紙を見せ、みんなはアクションをやります。だんだんスピードを上げたり、アクションのルールを変えたりしていきます。

(10)旅行に何を持っていく?:最初の人は「あ」で始まるモノの名前を言います。2番目の人は、最初の人が言った「あ」で始まるモノの名前と、自分で考えた「い」で始まるモノの名前を言います。3番目の人は前の人が言った「あ」「い」で始まるモノの名前と自分で考えた「う」で始まるモノの名前を言う……と、どんどん続けていきます。

データから:「実行機能」が高い子は勉強ができるようになる

 未就学児と幼稚園児の「実行機能」のスコアは、「IQ」のスコアよりも、後に学業で成功する重要な指標になることが多くの研究からわかっています。

 実行機能が優れた子どもは……

・初期の読み書き能力において、同級生よりも3ヵ月以上進んでいる。
・小学校から大学まで、成績のレベルが高い
・SAT(大学進学適性試験)などの標準テストでのスコアが高い
・同級生や先生と、ポジティブな人間関係を築きやすい(あまり破壊的、無神経、攻撃的ではなく、そのことが学業成績を押し上げる)。
・大学卒業率が高い

(この原稿は書籍『いまの科学で「絶対にいい!」と断言できる最高の子育てベスト55』から抜粋・編集して掲載しています)

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