危機を認識しつつも放置する
“ゆでがえる現象“の怖さ
「熱湯にかえるを入れると、そのかえるは驚いてすぐに脱出します」
「一方、水の中にかえるを入れて、徐々に温めていった場合、危険を察知することが遅れてしまい、そのかえるは死んでしまいます」
この“ゆでがえる現象”は、書籍などでよく紹介されていますし、ビジネス系のセミナーで話される方も多いので、ご存知の方もたくさんいらっしゃるでしょう。
「まもなく景気は上向くだろうから、もう少し辛抱すれば大丈夫」
「問題が発生していることはわかっているんだけど、社員全員に関係する話でもないからそんなに事を荒立てなくても良いですよ」
これは、すでに“危機”が迫っていることを認識しているのにもかかわらず、その“危機”に対して向き合うことをせずに放置している事例です。結果的に、“ゆでがえる”と同じ末路を迎えることになることを示唆しています。
現在、話題となっている大相撲八百長問題も、まさにこの“ゆでがえる”現象を思い出させる話です。なぜ、このタイミングになるまで八百長問題は解決されなかったのでしょうか。その背景にある組織の問題を考えていきましょう。
「春場所中止」「力士の処分」など
“対症療法”では解決しない組織の問題
大相撲の八百長は、以前から週刊誌などを中心に多くのマスコミで取り上げられてきた問題です。
当事者である日本相撲協会も、いわゆる“八百長”に関しては否定を続けてきたものの、“無気力相撲”に関しては否定をしておらず、「故意に負けてやった」ようにみえる取組には注意をするなどの対応をしていることからも、そういった風土を十分認識をしていたと言えるでしょう。