iPad投資を「もったいない」
と考えるバカ社長

 武蔵野では、パート・アルバイト、内定者も含め、全従業員にタブレット端末(ipadやipad mini 600台)を支給しています。
金額にして、「ウン千万円単位」の投資です。

 普通の社長は、社員に配布することはあっても、パート・アルバイトにまで配布することはないでしょう。お金がもったいないですから。

 でも私は、常用雇用者に渡さないほうがもったいないと考えています。
 ipadを常用雇用者が使えるようになれば、バックヤードのIT化が進み、「残業を減らして利益を上げる」ことができるからです。

 また、ITツールを大量導入すると、「全員が同じ端末を持つので、従業員同士で使い方を教え合うことができる」「機種・インフラが同じで、部署異動があってもストレスなく仕事を始められる」などのメリットがあります。

 ITへの投資を「もったいない」「高い」と考えるのは、儲かるための計算式を持っていない証拠です。数字を見ないから、残業問題に踏み込めない。

 単純に時給を1000円とすれば(実際には、残業代はもっと高い)、月40時間で4万円。2ヵ月で8万円です。
 タブレット端末を1台8万円で買っても、2ヵ月でおつりが出る。実質的な償却は2ヵ月で終わるから、残る10ヵ月は純利益になる。また、残業が減れば水道光熱費も減る。

 つまり、1台8万円のタブレット端末は「安い」と考えることができます。
iPadを導入した当初は、私も「電話代(通信代)がもったいない」と思い、200台はセルラーモデル(携帯電話と同じように好きな場所で使えるモデル)にしたものの、残りの300台は、Wi-Fiモデルでした。

 ところが、Wi-Fiモデルだと通信手段がWi-Fiに限定されるため、街中で使うには不便です。せっかくiPadを持って外に出ても、Wi-Fiを受信できる場所でなければ、使うことができなかった。

 そこで、全台、セルラーモデルに変えました。
 電話代は増えたが、「いつでもどこでもiPadが使える」ため仕事が効率よく進み、残業代が減った。結果的に、増えた電話代よりも減った残業代のほうが大きくなって、生産性が上がりました。

小山昇(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。『1日36万円のかばん持ち』 『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』 『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』 『強い会社の教科書』 (以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】http://www.m-keiei.jp/