少年野球に行きたかっただけかもしれませんけどね(笑)。今でこそ笑い話ですが、このように教育は時代の影響を色濃く受けます。なので今、10年、20年後に花開くような技術や知識の素養を身に付けさせないといけません。

安宅 そうですね。今後は、間違いなくデータの力を解き放てる人材が求められます。

 例えば、勘と経験で治療するベテラン医師よりも、「3000万人のデータに基づくと、病気の確率は0.1%しかないから、この薬を飲んでみましょう」というような若い医師の方が支持される。

 ミシュランガイドの覆面審査員の方からも似たような話を聞きました。「今は20代で頭角を現せなければ、三つ星は取れない」と。

 というのも、今のシェフはサイエンスを用いているからです。レシピのデータを分析し、ゼロコンマ5度単位の温度でテストを繰り返し、感性だけに頼らずデータを基に料理を仕上げる。そのセンスがないと料理の世界でも三つ星は取れないそうです。

安宅 ええ、これからは母国語と英語、データリテラシーの3点が言語教育の基本となるでしょう。富を生み出す方程式が変わったので、夢や“妄想”を膨らませ、それを実行に移す力が必要です。

 そうですね。今の起業家にはタイムマシンに乗って帰ってきたように未来を描く力があります。

 今、シリコンバレーをアジアにつくろうと活動しています。「スラッシュアジア」といって、学生の自主運営ながら、約5000人が集まるイベントを開いています。

 そこの舞台に上がる起業家たちはレーザービームを浴びて、まさにロックスターのよう。学生からすると憧れの存在です。10代、20代の若者が、バンドを組む感覚で起業し、世の中を変えていく時代になっていくでしょう。

安宅 “妄想”のまま突っ走ってほしいですね。明治維新の志士たちも20代が中心でした。そうした若者が増えれば、日本も大きく変わるでしょう。