「なるべく易しいことばを使いましょう」
とはよく言われることだけれど…
「なるべく専門用語を使わないように、小学生でも分かるようなことばで書きましょう」。
製品パンフレットやホームページの商品説明を書くためのノウハウとして、よく言われることです。
しかし、業種によっては、一般の人が知らない専門用語を使った方が、売上げが上がることがあります。今回は、「物見」(ものみ)という特殊用語を使って、受注を3倍にしたネットショップの実例を見ていくことにしましょう。
「物見」というひとことが
剣道愛好家のハートをわしづかみに!
「既製品では合わなかった物見が
オーダーメイドでピシャリと合いました」
これは、剣道防具ネットショップ「ケンプロ」の事例広告で使われたキャッチコピーです(写真参照)。これをホームページに載せたところ、その後1週間の注文数がふだんの3倍に。どうやら「物見が合う」という言葉が、剣道好きのハートをわしづかみにしたようでした。
この「物見」とは何なのかというと、面の前についている鉄の横棒の、棒と棒の間のことです。その隙間から対戦相手を見るので「物見」といいます。実はこの物見が合っているかどうかは、剣道が強くなれるかどうかに関わる重大事なのです。
物見が合わない防具をつけていると、鉄の横棒が視界をふさぐことになり、それでは相手がよく見えないので、首を前か後ろかに傾けて視界を調整しなければいけません。そんな悪い姿勢では、剣が乱れます。そこで「強くなりたければ、防具の物見を合わせろ」ということになります。