40代で花粉症になったうえ、
1シーズン2回もインフルエンザにかかった
百貨店勤務Xさん(40歳)

百貨店の外商から催事の売場主任に
打ち合わせは深夜に及ぶことも…

 百貨店に勤務するXさんは、長年歩んできた外商畑から催事の売場主任に抜擢された。以前は外商部のエースとして、個人のお客様を担当していた。お中元やお歳暮はもちろん、着物や宝飾などの新作のカタログをもって自宅にご説明に伺うのが仕事だった。しかし、Xさんの担当の顧客も数年前から高齢化が進み、売上が伸び悩んでいた。そんな矢先の催事担当への異動だった。

 Xさんのデパートも百貨店不況が深刻化した数年前、経営改革を迫られた。平日のシニア層獲得のため、催事の拡充が最優先課題だったのだ。催事のなかでも「集客力のある地方の物産展を充実させる」こと、これがXさんに与えられた課題だった。

 その日から、Xさんはライバル店などの物産展をまわりはじめた。そのほか、インターネット通販で人気のお取り寄せを試食したり、地方のお土産ものが集まるアンテナショップめぐりを繰り返した。

「どうしたらデパートにお客様が来てもらえるのか」

 それがいつも頭から離れない。毎日、深夜まで部下との話し合いが続いた。

新規顧客獲得のために「声かけ」を徹底
そのため「のど」は限界に…

 物産展は、普段あまりデパートに来ないシニア層や男性までをも呼びこめる人気イベントだ。ホームページも持っていないような、隠れた地方の名店を発掘して、口説き落とすのがXさんの仕事だった。

 北海道や九州、京都などをテーマにした定番の物産展でも、東京初進出の店があるときは集客がまるで違う。「先着○名様限定」という商品を用意して来店を促す。苦労して出店につなげたテナントが、目標数字をクリアすると本当にやっていてよかったと思う。はじめて出店するテナントには、前日から徹夜で搬入を手伝う。地方の老舗店の老夫婦などに、陳列を手とり足とり教えていくのも仕事だ。