「人気」と「おすすめ」の違いは?

 いいまの分厚いメニューを開くと、料理名の頭に緑色で「人気」、赤で「おすすめ」と書いてある。

「人気とおすすめはどこが違うのですか?」

 そう聞いたら、正男は腕を組んで、「うむ」とうなった。

「僕が書いたわけじゃないんですけれど、人気は人気で、おすすめはおすすめなんじゃないでしょうか?」

 たとえば、若鶏のカツレツチーズ焼き(1000円)は人気で、若鶏のグリル(1000円)はおすすめだ。

「グリルは焼いてあります。そこに自慢のデミグラスソースをかけてある。カツレツはうちは焼きカツです。揚げているのではなく、衣に生の玉ねぎのみじん切り、パン粉を付けたものをフライパンで焼きます。仕上げにデミグラスソースがかかっています。これは村上シェフに教わった料理ですよ。ほら、帝国ホテルは玉ねぎを焼いたものを上に載せるシャリアピンステーキで有名でしょう。あれに似ています。うちでは若鶏チーズ焼きが自慢なんです。ですから、私はそれをお勧めします。すると、いつか人気メニューになる」

 要は、おすすめも人気も「特別においしいんだよ」と主張したいだけなのだろう。

 店ではなく、わたしのおすすめは和食ならば刺身丼(1200円)と、海老しんじょう(600円 2カン)だ。刺身丼に載っている鮮魚、貝類は新鮮そのもの。ご飯の量も多い。お値打ちである。「えっ」とびっくりするのが海老しんじょう。たいていはマッチ箱(古い)くらいの大きさなのだが、いいまの海老しんじょうはマクドナルドのハンバーガーくらいの大きさで厚みがある。1人前でふたつあるから、ひとりでこれを注文すると、それだけでお腹いっぱいになってしまう。

 洋食のおすすめは若鶏メニューのほか、厚切りヒレカツサンド1000円。食べてもいいし、持ち帰ってもいい。

 そして、いろいろ迷った挙句、ついに何を選んでいいかわからなくなった人には……。

「和食と洋食の料理が少しずつ入ったお弁当があります」(正男)

 和洋食弁当は1900円。おかずは次のようなものだ。エビフライ、ヒレカツ、海老しんじょう、焼き魚、玉子焼、じゃこサラダ、野菜煮物、つくね。ふたりが共同作業で作っている弁当でもある。

 それでも「オレはアラカルトを注文したい」という人はオーダーにかける時間を少なくとも30分は用意してから行くこと。 


「和洋食屋 いいま」

◆住所
東京都台東区浅草6-5-10
※地下鉄東武浅草駅から徒歩10分
◆電話
03-3875-3828
◆営業時間
11:30~13:30、17:00~22:00 月曜定休