また、家にいる時間が多くなっても、キッチンに立って料理を作ろうという気持ちにはなかなかなれないもので、仕事が忙しかったときとあまり変わらない食生活をしている人が多いのも現状です。食材の買い出しで外に出るのも億劫、キッチンに立つのも億劫。冷蔵庫には飲み物だけでスナック菓子やカップ麺、冷凍食品が買い置きされているかもしれません。また、先の見通しに不安があるので、どうしても食費を切り詰めがちになります。金銭的に不安がない場合でも、メニューを考えることや選ぶことが億劫になるので、毎日同じ食事の繰り返しになることもあります。

 それでも「仕方ない」で流すわけにはいきません。なぜならば、私たちは、ストレスを感じると、タンパク質、ビタミン、ミネラルを大量に消費してしまうからです。健康に配慮した食生活を送る気持ちの余裕がないにもかかわらず、体はいつも以上に栄養を必要としているのです。

まずは食事で現状の底上げから

 メンタルヘルスに問題がある時は、いろいろなことを考えるのも作るのも億劫な状態でもあるため、まずは現状の底上げから始めましょう。

 ストレスによって消耗する栄養は食事で補うことができます。コンビニで売られている食材で言うと、タンパク質は、卵、納豆、豆腐、しらす干し、鮭の塩焼きを、野菜は便利なもやしやカット野菜、トマト缶などが挙げられます。あまり調理の手間をかけずに食べられるものをストックしておきたいものです。

 ただ、コンビニと聞くと、“添加物”を気にする人が少なくありません。もちろん、添加物を積極的に摂りましょう、とは言えません。でも、それ以上に問題なのは、「糖質過剰、タンパク質不足」になりやすい栄養の偏りです。タンパク質を毎日補給しなければ、心身の健康は保てません。気持ちの浮き沈みに影響を与える自律神経を正常な状態に保つためには、コレステロールを極端に避けるのはおすすめできません。コレステロールの過多は肥満の原因だと考えられがちですが、ホルモンや細胞膜の材料として、健全な精神状態を保つためにも必要なものです。

 極端な食生活を送ることなく、大豆・卵・魚・肉などのタンパク質をバランスよくしっかり摂ることが大切です。こだわりすぎて何もできないよりも、不足を補うことが大事だと思います。

休職中に改善したい2つの「習慣」

 食事で心と身体を建て直しながら、復職後を見据えて休職中に改善しておきたい習慣が2つあります。

 ひとつは、ストレスを和らげる目的で飲むお酒を控えることです。飲酒によって失われる栄養素の中には、ストレスへの抵抗力を強めてくれるセロトニンの合成に必要な葉酸も含まれるからです。

 また、休職中のうちに、朝食を食べる習慣も身につけたいものです。職場に戻れば、また以前のような働き方になるときもあるはずです。そうした状況で左右されない栄養の補給源は朝食しかありません。ストレス時には栄養素の必要量が増えるということを認識して、その分を補充しようとする癖をつけておくことが大切です。日々の生活から、コツコツと積み重ねるように心身のバランスを整えていきましょう。

 メンタルヘルスの問題について、もちろん食が全てとは言えません。ただ、選択肢のひとつとして食という切り口があることを知っておくことは、大きな助けになります。毎日のことですし、物理的に見える形で、ひとりでも取り組めるものだからです。