将来、子供に感謝される「新しい育て方」とはどのようなものか?約200人の「リーダーシップ溢れる学生」および、各界で活躍するビジネスリーダーたちが「親に最も感謝している教育方針」を徹底的に調査した『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』
本連載では、著者であるミセス・パンプキン氏が、本書や数々の講演会で伝えている「自己肯定感が高く、主体的に自己実現できる人の育て方」のエッセンスを公開していく。

リーダーに必要なコミュニケーション能力とは?

 周りからリーダーと認められるために必要なコミュニケーション能力とは、相手への共感力に他なりません。

 拙著『一流の育て方』で強調させていただいた一流の育て方とは、いわゆる一流の大学に入れて一流の企業に就職させることが目標ではありませんでした。豊かな感性や高い人格を持ち、自分と異なる人の意見を聞くことができ、弱者や他人の立場に立って物事を考える習慣を持ち、主体性を持って生きることで多くの人から信頼される人間に育てることを、その目標の一つに挙げました。

 最近、誰もが世界屈指のリーダーと認めるカルロス・ゴーン氏(日産自動車社長)が、リーダーには3つの条件が必要だと明示されていたのが、筆者の興味を惹きました。

 一つ目は「結果を出せる人」。二つ目は「人々と繋がる能力が身についていないといけない。部下の働く意欲に関わるから、共感される能力を磨くべきだ」。最後は「生まれながらのリーダーなど存在しない。リーダーは周囲からリーダーだと認識されないとなれないものだ」(日本経済新聞「私の履歴書」より)というものです。

 世界一の権力を持つアメリカのリーダーに、ドナルド・トランプ氏が就任しました。メディアを通じて知る限り、ゴーン氏の挙げた「結果を出せる人」かどうかはこれからだとしても、「周りからリーダーと認識されているか?」という観点では、その答えははなはだ疑問でしょう。

 トランプ氏の容赦ない数々の差別発言や、反対意見を遮断し非難する行為、聞く耳を持たぬツイッターの多用等、その多くが『一流の育て方』では、まず大人が慎まねばならないと提言したことばかりでした。

 トランプ氏の暴言は、自身の支持層の”共感“を得ることはできません。一国の大統領として、また世界の指導者としての”幅広い共感“は到底期待できず、トランプ氏事態もハナから、「国民や世界を統合するリーダー」を目指しているわけではないことが、見て取れます。

 言い換えれば、共感を受けられる範囲が、その人のリーダーシップのサイズを決定するともいえるでしょう。トランプ氏は雄弁ではありますが、広く共感を得るためのコミニュケーション能力は、決定的に欠落しているのです。