さて、この三つの会話パターン。実は最初のAさんの発言は同じです。また、製品も同じ。違うのはBさんの受け取り方とそれに対するAさんの反応だけです。事実は一つだけですが、受け取り方によって「怒り」に発展することもあるわけですね。これが三重丸の概念です。

 AさんとBさんが言い争いに発展してしまったのは「べき」の境界線を意識せずに会話しているからであり、回答が「自分と同じ」と「許容できない」の二択になってしまっているからです。

 こうした怒りから自分を遠ざけるためには、三重丸のちょうど狭間にある「自分と違うが許容可能」な範囲を広げることが効果的です。

出典:一般社団法人日本アンガーマネジメント協会

「へー、そんな考え方もあるんだ、自分は違うけどそれもアリだね」と受け取ることができるようになれば、世の中とても生きやすくなります。多様な価値観を受け入れる懐の深さがある人は、他者からの尊敬を集めることができます。様々な考え方を受け入れるマインドを持てば、知見を深め視座を高くすることができます。そうすれば、グローバル仕事人として大きな成功に近づくことができるようになりますよね。

 日本アンガーマネジメント協会では、2と3の間の線の上には「後悔」が乗っていると言っています。

出典:一般社団法人日本アンガーマネジメント協会

 この線の存在を自分で意識しなければ、AさんとBさんの会話のようなことが起きてしまうのです。まず、自分自身の中にある「べき」の線を意識することが大事です。

 ところで、3の「自分と違う・許容できない」はどう扱えばいいのでしょうか?精神的な鍛練を積んで、なくせばいいのでしょうか?

 それは違います。価値観を持たない人はいませんし、許容できないことに対峙したときに、怒りを感じない方がおかしいのです。この連載の中でも「アンガーマネジメントは“怒らなくなる”ことではない」とお伝えしました。ですので、3もなくす必要はないのです。

 ただ、大事なことは「自分にとって、2と3の境界線はどこなのか」を理解することであり、それを周囲にも明らかにしておくことです。「自分が許容できないもの・こと」を他者に対して明らかにすることができれば、無駄なエネルギーを怒りによって費やすリスクを下げることができます。