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認知症予防は40代から!「脳の老化」薬の要らない防止法

阿保義久 [北青山Dクリニック院長]
【第6回】

アルツハイマー病の原因に新説登場
人間の「変わろうとする力」が効く?

 一方で、アミロイドβやタウタンパクの蓄積がアルツハイマーの原因であるとの定説に疑問を投げかける科学者が、最近目立つようになりました。これらゴミが脳内に蓄積してアルツハイマー病の診断基準を満たしているのに、認知症を発症せず頭脳明晰な状態で最期を迎える人が報告されるようになってきたからです。

 科学者の中には、アミロイドβなどの蓄積では、全てのアルツハイマー病を説明できないと主張する者もいます。アルツハイマー病の原因のほとんどを規定しているのは、むしろ他の要因(心臓の健康状態、睡眠の質、肉体的運動)にあるという説が注目されているのです。心血管系の健康を保つことが脳機能の保持に大きく影響する、生活様式を改善することがアルツハイマー病の最良の予防策になる、という新しい知見をしばしば目にします。

 現在、アルツハイマー病の治療は薬が中心で、アミロイドβやタウタンパクをターゲットにした開発が進められています。アミロイドβを消去する抗体の開発が相次ぎ、アミロイドβの分解を促すものやタウタンパクの凝集を阻止するものなど続々と新薬の開発が進んでいます。一方で、期待されるほどの効果が臨床試験でなかなか得られないという現実にも直面しています。 アルツハイマー抗体医薬品の開発にメジャーな医薬品メーカーが多額の資本をつぎ込み、現在もその研究は継続していますが、薬効が認められて販売承認に至ったものは残念ながら一つもありません。ですので、本当にアミロイドβやタウタンパクの蓄積がアルツハイマー病の根本的な原因なのかという疑問が生じ、他に有効な治療アプローチ法があるのではないかと考えられるようになったのは不自然なことではないのです。

 既に使われている認知症治療薬は、疾患の根治的治療を目指すものではなく、神経の興奮を促す、神経細胞の死滅を防ぐなど、症状の進行を抑える以上のものはありません。アルツハイマー病の根治的なアプローチが新たに求められているのです。

 2014年以降、国際的に権威のある複数の医学論文誌を通じて、何人もの研究者たちが新しい対処法を提言し出しています。その中の一つに、全世界のアルツハイマー病の3分の1は、「人間の変わろうとする力」によって防ぎ得る、というのがあります。このとき、「変え得る対象」は中年期の高血圧、糖尿病、肥満、肉体的行動、うつ病、喫煙、低い教育水準、などが挙げられます。

 特に、心臓の健康に関わる高血圧、糖尿病、肥満が重要のようです。心臓は血液を介して全身に酸素を送り込むポンプですが(詳しくは第3回でもご紹介)、身体の中で酸素を最も必要とする臓器は言うまでもなく脳です。脳の質量は体重の2%に過ぎませんが、全身が消費する酸素の20%を脳が使います。脳神経が正常に働くには大量の酸素が必要なのです。

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阿保義久 Yoshihisa Abo [北青山Dクリニック院長]

東京大学医学部卒業。腫瘍外科・血管外科医。2000年に北青山Dクリニックを設立。下肢静脈瘤の日帰り根治手術・椎間板ヘルニアのレーザー治療・痛みのない内視鏡検査・進行がんに対する革新的治療―がん遺伝子治療まで、質の高い医療サービスの提供に励んでいる。著書に『アンチ・エイジング革命(講談社)』、『下肢静脈瘤が消えていく食事(マキノ出版)』、『尊厳あるがん治療(医学舎)』などがある。


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