看護師による介入を行った研究グループのウェブサイト”Talk With Me Baby”には、言葉を通じて、赤ちゃん・子どもと家族がどれほど幸せになれるか、魅力的に分かりやすく紹介されている。

 そこで彼女たちは、看護師に注目した。親の99%は、出産時に看護師と接触している。看護師が継続的に育児に関わることは、不自然ではない。看護師が親に「なぜ親が赤ちゃんに話しかける必要があるのか」「赤ちゃんに話しかけるにはどうすればよいのか」を知らせ、家庭への介入を続ける役割を担いつづけた結果、赤ちゃんは英語とスペイン語のバイリンガルに育ちやすくなった。

 また、親が使うためのスマホアプリも開発した。英語・スペイン語の2ヶ国語に対応したスマホアプリは、赤ちゃんにどう話しかければよいかを2ヶ国語で示す。ほとんどスペイン語以外は使えない親も、赤ちゃんに英単語や英語を教えられるというわけだ。また、赤ちゃんの言語発達の様子を、親がチェックすることもできる。どこまでも「這えば立て立てば歩めの親心」に沿ったこのアプリは、近日リリース予定であるという。

ハイリスク家庭に対する
かかりつけ医の介入戦略

 次に発表した男性研究者は、貧困はじめ数多くの問題が重なっているハイリスク家庭に対し、かかりつけ医(プライマリ・ケア)が周期的なケアを行う介入戦略について報告した。家族向けの個々のプログラムには、爆笑の「LOL」を思わせる「ROR(Reach Out and Read)」や「VIP (Video Interaction Project)」といった親しみやすい名称がつけられている。

「ROR」は家庭訪問、「VIP」はビデオ電話を通じた各家庭のケアだ。ハイリスク家庭では、3歳時の子どもの41%に発達上の問題が見られるが、「VIP」を2年間続けていた家庭では15%であったという。並行して、孤立しやすい各家庭を地域コミュニティにつなぎ、「ヘルスケアをコミュニティにつなぐ」というプログラムも実施されているそうだ。

 最後に発表した女性研究者は、家族をサポートするプログラム「PROVIDENCE」について報告した。参加した家族の3分の2で、子どもの語彙数が増え、子どもと家族のコミュニケーションは、平均で44%増加したそうだ。ざっと1.4倍、家族の会話が増えるという結果は、もちろん、会話とコミュニケーションが楽しいから実現しているわけである。

 特に会話の増加が著しかったのは、ひとり親家庭など、そのプログラムを必要としている家族だった。彼女は「最もプログラムを必要としている子どもに、最も大きな効果があった」という。また、そのプログラムの場そのものが楽しい会話の場となっており、親の97%は満足しているそうだ。彼女は「子どもに対する言葉と会話を、子どもの将来のために、最も大切にしたい」と発表を結んだ。