連載の中でこれまでは、どんな発想法があるのか、そしてそれはどう役に立つのか、というスタンスで書いてきました。今回は逆で行きましょう。つまり、どんなときに発想(ジャンプ)が必要になるのか、そしてそれをひねり出すのにどんな発想法が有用なのか、です。
就職口として最も多いのは営業職(*1)であり、昨今ではエンジニアであろうと営業能力が求められたりします。なので「営業での発想」を、まずは考えてみましょう。
営業とひと口で言っても、実はさまざまなタイプがあります。
・法人対象/個人対象
・新規開拓/既存売り込み/既存メンテ
・テレマーケティング/店頭販売/訪問営業
最も難易度が高いのは、法人相手の新規開拓の訪問営業(飛び込みセールス)でしょうか。ただ、いずれの場合でも、発想力が求められる状況は次の3パターンでしょう。
・A 相手を目の前にしての会話
・B みなが集まる会議での発言
・C 一人でプランや提案書作り
A、Bでは「笑点」的な即時的対応が求められ、Cでは「もしドラ」的な鋭い切り口や新しいストーリーが求められます。各々について、事例とともに、そこで使える発想法を見ていきましょう。
A 相手との会話での発想法~「日米半導体摩擦についてどう思う?」
1980年代から1992~93年にかけて、日米間では深刻な貿易不均衡が問題になっていました。舞台は半導体です。当時NECを筆頭にした日本メーカーが、DRAMを中心とした半導体メモリー市場で圧倒的なシェアを握っていた(*2)からです。
87年4月、業を煮やした米政府は日本製のパソコン等に、なんと100%の関税を課しました。今で言う米中間の貿易不均衡問題に匹敵する戦いが、日米間で繰り広げられていたのです。
*1 エン・ジャパンで職種別に求人数(正社員)を検索すると、営業関連職が427件でトップ。ちなみにクリエイティブ・マスコミ関連職は131件。(2011年4月6日現在)
*2 NECは結局、2001年12月に汎用DRAMからの撤退を発表した。