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ソニーに何が起きたのか――ハッカーとの暗闘の末に史上最大規模の個人情報流出

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第143回】 2011年5月3日
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 そうこうするあいだに、ソニーとホッツは、ホッツがいかなるソニー機器へのジェイルブレイクも行わないことを条件に和解へ。アノニマスの怒り収まったはずだった。

 ところが、この流出事件である。

 この不正侵入が、ホッツやアノニマスのハッカー行動と異なるのは、サーバーに侵入して個人情報を盗み出していることである。これは、デバイスのジェイルブレイクやサイトへの攻撃とは本質的に目的が異なるものであり、極端に攻撃的な悪意が込められている。

 ソニー側も、今回の不正侵入はアノニマスに結びつくものではないとしている。しかし、ハッカーたちのそうとうな怒りを買っていた可能性は高い。

 「そもそもホッツのようなタイプのハッカーを訴えたこと自体がまずかったし、ホッツのビデオを鑑賞したり、寄付をしたりしたハッカーたちを突き止めるよう当局に依頼しているのはもっとまずい。ハッカー社会との全面的な対決姿勢が、今回の大きな事件の引き金を引いてしまったのではないか」――。それが、アメリカのテクノロジー業界の多くの有識者たちの見方だ。

 もちろん、悪事は悪事であり、法に照らして罰せらるべきは罰せられるべきである。だが、ソニーが綺麗ごとでは済まない細心の注意が必要な問題のハンドリングを、大企業然とした硬直的なアプローチで誤った可能性は否めない。それとも、企業は、サイバー世界では無力でしかないのだろうか。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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