真剣に労働者の生産性を向上させたいなら、やはり労働者がスキルアップできる機会を増やすことが必要です。北欧のように政府が提供する職業訓練プログラムや失業手当を充実するなど、教育・訓練の機会を抜本的に強化し、労働者のスキルアップは企業のOJT任せという高度成長期以来の仕組みを転換すべきではないでしょうか。

スマホとネットが
脳に与える三つの悪影響

 ただ、そうした政策は多額の予算が必要だし、ハローワークなど既得権益も絡みますので、おそらく抜本的な改革はやらない今の政権では無理でしょう。それでは、予算をかけずに労働者の生産性を向上させる政策はないでしょうか。一つあります。それは“スマホ・ネット禁止令”を出すことです。

 既にこのコーナーで何度か軽く触れたことがありますが、スマホやネットを使い過ぎると、人間の脳には三つの悪影響が生じる可能性が高いと言われています。

 第一は集中力が低下することです。スマホやネットで画面をどんどん変えていろんなウェブサイトやソーシャルメディアを見ていると、脳が常に情報の刺激を求めるようになるので、集中して勉強したり考えるということができなくなります。

 第二は画面をスクロールしながらテキストを読んでばかりいると、読み方が“浅い読み”(字面だけを追って記憶に残らない流し読み)ばかりになり、“深い読み”(じっくり読んで内容を吸収するとともに、自分が持っている知識と新しい情報を結合して新しいアイディアを生み出す)ができなくなります。

 第三は行動全般が受け身になることです。特にスマホは、能動的に使いこなしているようで、実はだいたい決まったウェブサイトやソーシャルメディアを巡回しているだけ、ゲームも与えられたルールに従ってやっているだけと、スマホが情報を与えてくれるのに従うという受け身の状態になります。脳がそれに慣れてしまうと、スマホを使っていない時も行動が受け身になりがちです。

 ここで、恐ろしいデータを紹介しましょう。いずれも米国での調査の結果ですが、まずiPhoneユーザは1日に80回、Androidユーザは1日に110もスマホをアンロック、つまりスマホをいじっていました。平均して1日に100回として、また睡眠時間を除いた1日の時間が仕事をしている時間も含めて17時間とすると、なんと10分に1回はスマホをいじっていることになります。