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アマゾンのクラウドサービスが独走している理由

――アンディ・ジャシー アマゾン・ウェブ・サービスCEOに聞く

【第143回】 2017年3月24日
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2015年からAWS単体の業績を開示

――AWSは、なぜこれほど安くインフラを提供できるのですか。

 我々はアマゾンという流通業が母体で、基本は「ローマージン・ハイボリューム」のビジネス文化です。一方の伝統的なIT企業は非常にマージンが高いモデルでずっとやってきました。ですから、利益の薄い事業にわざわざ切り替えるのは難しかったのだと思います。

 ところが、2015年にAWSのビジネスを初めて決算で明らかにしたとき、それがいかに大きなビジネスなのかということを示すことができました。かつ、彼らが思っていたよりもクラウドへの移行は早く進んでいるということも明らかになったのだと思います。

 既存のIT企業がやってきたことは、既存の企業の顧客に対するサービスでした。AWSがやろうとしてきたこととは大きく違いました。ビジネスインフラにクラウドが使えるという発想は、既存のITに集中していると見えてこなかったのだろうと思います。我々は新鮮な目で、顧客にとって何が一番ハッピーなのかを検討することができました。既存のビジネスに深く入り込んで、うまくいっている中では、確かにローマージンのビジネスを始める意義は見いだせなかったのだと思います。

 クラウドが注目されてきた中で、おそらく既存のIT企業は、従来のソフトウェア・パッケージをクラウドとしてリパッケージできないかと考えていたのだと思います。ですが、それは全く考え方が間違っていることに気が付くのが遅れてしまったのです。日々顧客のワークロードが増えていく中で、そうした既存の方法論を拡大していくことは、例えて言うなら“重力”に対して戦いを挑むようなものです。

大企業がクラウド化することは
最初からわかっていた

――AWSは新しいビジネスアイデアを実現し、それをスケールアップさせるインフラとして使い勝手がいいものと認識していました。しかし今では多くの伝統的な大企業もAWSを事業基盤として採用し、また検討しています。大企業がクラウド化を真剣に検討するようになったきっかけはあるのでしょうか。

 AWSは開始当初から、多くのスタートアップがスクラッチ(プログラムを独自にコードから作ること)で開発していました。Airbnb、Pinterest、Slackといった企業です。日本でも、gumi、sansan、freeeをはじめとする多くの企業が使っています。

 そして、5年ほど前から、さまざまな業界で大企業がビジネスインフラにAWSを採用すると発表しています。

 日本での最新の事例は、世界で活動する銀行グループのBTMU(三菱東京UFJ銀行)です。ごく最近AWSを広く採用することを決めていただきました。数多くのアプリケーションをAWSに移行する計画で、その目的はビジネスのスピードアップ、そしてコスト削減です。75%のスピードアップ、30~40%のコストダウンを目指しています。つまり、5年間で1億ドルものコストをセーブできる計算です。

 またNTTドコモは、すでに非常に多くのアプリケーションをAWS上で動かしており、約8ペタバイト(8000テラバイト)ものデータを日々やり取りしています。ほかにもローソン、ファーストリテイリング、日本通運など日本の代表的な企業が、あらゆるアプリケーションをAWSへ移行する作業を進めています。

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