ユニクロとセブンが目指す「消費者を信じない商品開発」

「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは衣料品の製造から販売で革命を起こせるか――。これまでの日本の流通はメーカー、卸、小売業と明確な縦割りが存在した。しかし、ユニクロは製造小売業という製造から販売まで一気通貫の業態を定着させた。そしてこの先は「情報製造小売業」に変わるというのである。片やセブン-イレブンも、プライベートブランドに力を入れメーカーと流通業の垣根を崩し、「工場を持たないメーカー」になりつつある。(流通ジャーナリスト 森山真二)

ショッピングサイトでは
AIのコンシェルジュサービスを導入

 ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は東京・有明の新本部披露で集まった報道陣を前に意気軒高だった。柳井氏は「服を作る人と着る人の境をなくす」、「一人ひとりに寄り添う」、「次の世代に繋がるサスティナブルな社会を作る」というテーマを掲げた。

 今までのユニクロといえば「俺たちがこんなに安くていい服をつくったのだから、買うのは当たり前でしょ」という売り方だったといえる。つまり、消費者をどっぷり信じ切った売り方ともいえるが、「寄り添う」ということは移り気な消費者の痒い所に手を届かせるという発想への転換だ。この発言に、ファッション商品だけではない、これからの流通のあり方が集約されている。

 今後、刷新するユニクロのショッピングサイトではAIのコンシェルジュサービス(UNIQLO IQ)を導入、チャットするように欲しい商品を探すサービスを展開する。とくに、春夏アイテムだけで2万種類超をそろえ、体型に合わせセミオーダーで選べる商品を増やすという。

 柳井社長はさらに、あるインタビューで今後、RFID(非接触でデータの読み書きを行う自動認識システム)の導入で商品の企画・生産を週単位から1日単位にシフトし、究極的にはリアルタイムで商品企画・生産をやるという見通しを立てている。この結果、店頭の商品が毎日入れ替わるような態勢の構築を目指す。「シーズン」というくくり方で企画や生産する考え方をやめるともいう。