メーカーにとってはPBの出現によって、セブン-イレブンから自らの商品の"売り場"がなくなることに対する"防衛"の意味もあるだろうが、その半面自ら「作らせてほしい」というほど、セブン-イレブンは消費者の嗜好を的確につかんでいるといえる。裏を返せばメーカーは消費者の嗜好を的確に掴んでいなかったともいえる。

未来を予見した発言をしていた
ダイエー創業者の故中内功氏

 ダイエーを創業した故中内功氏は「流通業は工場を持たないメーカーになるべきだ」と説いた。まったく未来を予見したかのような発言だったが、ダイエーも実際、その言葉を信じ愚直に商品開発をやり、不動産や異業種に投資しなければ経営不振に陥らず、イオンの傘下に入ることもなかったと思う。

 だが、それを代わって成し遂げようとしているのがセブン&アイであり、同社はすでに「工場を持たないメーカー」の域に近づいているといっていい。

 ユニクロ柳井社長は「作る人と着る人の境をなくす」という。元々ユニクロのような製造小売業は自分で製造し販売する仕組みだ。このため、柳井社長は「販売した際のデータは次の製造に生かされ、消費者のニーズが鮮明になっていく」と話している。

 だが、まさにセブン&アイのPBも同じ。消費者に近い位置にいるセブン-イレブンが消費者のニーズをすくいとり、そのニーズを愚直に反映させた商品を作っている。まさに、メーカーと流通の境を低くしている。

消費者を信じないで
寄り添って徹底的に調べる

 では、なぜセブン&アイが流通業のなかで1兆円超を達成できたのか。実は、こんな話がある。

 セブン&アイのセブン-イレブンは数年前から、ローソンの牙城だった関西攻略に乗り出している。ローソンに比べ店舗数で劣っていたが、今では上回っている。その巻き返し策はなんのことはない、愚直に関西地区の味覚を調べのである。

 セブン-イレブンでは元来、一部のおでんなど以外の商品では地域差はなかった。だが、関西地区の攻略にあたって外食店100店以上、商店街数ヵ所で、食べ歩きをして味覚を詳しく調査した。その上でメーカーとチームを組み関西仕様の商品を作ったというから、その徹底力が違う。

 16年2月期には、売上高900億円近くに達したい入れたてコーヒーにしても、過去4回ほど失敗している。しかし諦めなかった。一度「これだ」と思った商品は成功するまで味覚や販売方法を検証して徹底して取り組むのである。下手に妥協はしないのだ。

 消費者を信じないで、消費者に寄り添って徹底して調べる――。それを商品開発に生かす。今後、ITがそれを加速していくだろう。製造、流通の垣根をなくした「消費者を信じないマーケティング」がますます必要になるかもしれない。