その方は投資目的以上に「アーティストを応援したいから買いたい」と話していました。だから直接的に作家の利益につながるプライマリーで買っているそうです。プライマリーとセカンダリーは客層が違う印象があります。プライマリーでの購入者は、もしかしたら作家に頑張ってほしいと思って買っている部分があるのかもしれませんね。セカンダリーの人は、もうちょっと作品をモノとして見ているところがあります。

学芸員と小説家
向かっている方向は同じ

――日本の美術界には、美術公募団体によって形成された国内独特の「画壇」の存在があると言われます。現代アート関係者などからは閉鎖的な文化に否定的な捉え方をする人もすくなくありませんが、どうお考えでしょうか。

 他のキュレーターにもネガティブに捉えている人はたくさんいて、「まるで公募展のような展示」というのは、揶揄している言葉としてたまに使われます。でも私自身は公募展が持つ(人気漫画の)「幽遊白書」みたいなトーナメント制というのでしょうか(笑)。勝ちあがっていくような物語、独自のシステムの中には、細部を見ると色んなドラマがあると思います。

 また工芸の世界には人間国宝という言葉があります。重要無形文化財保持者という意味で、それは公募展で賞を重ねていって国から与えられる勲章です。そういう意味では、色んな公募展があって、日本の文化を守っている部分もあると思うので、善悪で語れるようなものではないと思います。

――そもそも美術に興味を持ったきっかけは何でしょうか。