サラリーマンの夜の宴会も
西成「3大有名店」で

 この「ホームレスの人たちが命を繋ぐ」格安弁当も、最近では、ごく一般の外からやって来たサラリーマン客から人気が出ている。

「営業でこの辺に来たら、買って帰ります。だって200円で腹一杯になるんですよ。店に入っても、うどんやラーメンが300円くらいです。お得ですよね?」

 こう語るのは、大阪市内の印刷会社でサラリーマンをしているという40代男性。職場での宴会も、わざわざ勤務先から遠く離れた西成で行うことが多くなったという。

「僕らの仲間内では『西成3大有名店』と言ってるんですが、『きらく』『なべや』『やまき』、どこも夜9時には閉店なんです。だからダラダラと宴会ということもないし、楽しく盛り上がって、安く呑んで、食べて、さっと切り上げられる――それができますしね。天王寺や難波だと、夜遅くまで店が空いてるから、なかなか“お開き”とならないのです」

ホルモン1串70円という激安価格の「やまき」。開店から閉店まで、周辺はおろか、「全国から客が押し寄せている」という盛況ぶりだ

 一人鍋600円で、すき焼きがぶっ倒れるほど食べられるという「なべや」、ホルモン1串70円という低価格で、開店から閉店まで大勢の客で賑わう「やまき」、どちらもネット時代を反映して、「全国から客が押し寄せている」(地元住民)という盛況ぶりだ。

 年々、ホームレス浄化によって彼らの人数が減り、それと入れ替わるように生活保護受給者が増えてきたといわれる西成あいりん地区。今では「昼間は生活保護受給者と、ごく一般のサラリーマンが主な客層」(地元飲食店店主)といわれている。

 アベノミクスの奏功で景気はいいという向きもあるが、ここ西成の現状を見るにつけ、ごく普通のサラリーマンと生活保護受給者の「差」は、むしろだんだんと狭まっているのではないだろうか?そう感じさせられた今回の取材だった。