今回の震災では、東北地方にある数多くの避難所がメディアを通してクローズアップされ、その生活ぶりが全国に紹介されるところとなった。その厳しい環境に、ほとんどの視聴者は、苛烈な震災の深刻さを思い知らされたことであろう。
その一方で、避難所という存在は、有事の際に数多くの生命を救う場所だと再認識したのではないだろうか。人々を余震から守り、支援物資を支給し、避難者同士が寄り添い、助け合う「シェルター」のような役割も果たす。
古来、津波の被害を受けてきた東北地方では、定期的に避難訓練を重ね、指定された避難所に無事逃れた人も少なくない。咄嗟の事態では、日頃の訓練がものを言う。
それでは、その他のエリアについてはいかがだろう? とりわけ関東や東海、関西などの大都市圏などでは、一体どれだけの人が自分が居るエリアの避難所をきちんと認識できているだろうか? もしもの状況になった場合には、おびただしい数の避難民が右往左往して、大きな混乱が起きることは容易に想像がつく。
そんな今、頼もしいデータが登場したことをご存じだろうか? その名も「全国避難所データPOI」。学校や体育館、運動場や集会場など、自治体が定めた施設情報に加え、独自調査した情報を併せて紹介している。名称や読みがな、郵便番号、住所、緯度、経度、電話番号、FAX番号などの情報を網羅し、全国47都道府県で実に9万箇所以上の避難所が掲載されているのだ(料金は要問い合わせ)。
このデータベースを運営するのは、株式会社ナビット(東京都千代田区)だ。首都圏に住む人なら、鉄道の「のりかえ便利マップ」を見たことがある人は多いだろう。東京の地下鉄全てに貼り出されているというこのマップをはじめ、駅データ・バスデータ、全国公園データ、学校データ、トイレデータ、医療施設データ、特売情報データなど、数多くのデータベースを主に企業に提供している。
それを可能にしたのは、同社の圧倒的な情報網だ。「地域特派員」と呼ぶ全国の主婦ネットワーク約3万4000名の体制を構築し、地域密着型の情報収集を実現している。かくも精緻なデータを備えておけば、もしもの時の備えになるはずだ。
とりわけ首都圏の人たちは、震災時の「帰宅難民」の記憶もまだ生々しい。社員の安全確保のため、また社員が大切な家族と非難場所で出会えるように所在地を確認しておくため、1社で1つは持っておくと安心ではないだろうか?
(田島 薫/5時から作家塾(R))