職場復帰後は「時差出勤」を選択
Jさんは、職場復帰するにあたり、「8時出社、16時退社」という今回の制度の「3」にあたる時差出勤を選びました。
そうすれば、母親の朝の送り出しは妻にまかせ、デイサービスからの迎えはJさんが担当する、という役割分担ができます。
取引先の担当者とは、SNSでつながっているため、事前にアナウンスしておき、復帰の挨拶時に勤務時間を繰り上げることを伝えました。
営業という仕事柄、夕方以降の問い合わせなども少なくありませんが、メールの署名欄に勤務時間を明記し、退社後の問い合わせについては同僚にフォローを頼むようにしました。
Jさんはチームリーダーという立場ですから、休む前は長期間現場を離れることにためらいがありましたが、早めに手を打ったことは正解でした。
会社側にプライベートな事情を理解してもらえ、「母が熱を出した」「ベッドから落ちた」など突発的な休みの際にも周囲の協力を仰ぎやすい体制をつくれたのです。
Jさんの家庭の事情は周囲に伝わっていて、心配したトラブルもとくにありません。
早朝の出社はラッシュも避けられますし、時間を意識することで、仕事の効率もよくなりました。
これなら、うまく両立ができそうだとホッとしています。
また、早く帰宅することで、小学生の娘と遊ぶ時間が取れます。
Jさんが娘の相手をするため、結果的に妻の負担を減らすことにもつながりました。
「以前は子どもと接する機会がほとんどなかったけれど、介護をきっかけに子どもとのコミュニケーションが増えて、とても満足している」とJさんは言います。
●ポイント
介護離職がクローズアップされ、介護休業や介護休暇の制度は少しずつ知られてきましたが、新しく導入された「対象家族の介護のための所定労働時間の短縮等の措置」は、これから活用されていく制度です。
定時出社やフルタイム勤務がむずかしくても、始業や終業時間の繰り上げや繰り下
げをするだけで、かなり仕事を続けやすくなります。
介護は状況がどんどん変わりますし、1人で解決するには限界があります。
総務や上司に相談しながら、介護と両立できる勤務体制を見つけてください。