介護と仕事を両立しやすい制度が始まった

Jさんは、介護休業を終え、職場に復帰することになりました。
とはいえ、介護が終わったわけではありません。

Jさんは93日間の介護休業をまとめて取りました。

当時の制度では分割取得ができず、約3ヵ月休めるのはありがたかったのですが、認知症の介護に対しては短すぎますし、使い切った後の対応は大きな課題です。

実際、介護休業後、職場復帰したものの、仕事との両立がむずかしく、離職してしまう人は少なくありません。

Jさん自身、「これ以上、介護の負担が増えたら、どうなるのだろうか?」と不安に思っていたところ、2017年1月から、「対象家族の介護のための所定労働時間の短縮等の措置」という新しい制度が始まりました。

要介護状態の家族がいる場合、3年間に2回以上、時短勤務やフレックスタイムなどを選択できる制度で、概要は次のとおりです。

ただ、会社として1~4のどれをサポートするかは、企業にゆだねられています。

対象家族の介護のための所定労働時間の短縮等の措置
1.短時間勤務の制度
 a 1日の所定労働時間を短縮する制度
 b 週または月の所定労働時間を短縮する制度
 c 週または月の所定労働日数を短縮する制度(隔日勤務や特定曜日のみの勤務など)
 d 労働者が個々に勤務しない日、または時間を請求することを認める制度

2.フレックスタイムの制度
3.始業または終業の時刻を繰り上げ、または繰り下げる制度(時差出勤の制度)
4.労働者が利用する介護サービスの費用の助成、その他これに準ずる制度

この新しい制度は、3年間という従来より長い期間が認められたこと、労働時間の短縮や時差出勤、隔日勤務、フレックスタイムなど、要介護者を抱える人の事情にあわせてフレキシブルに選択できる点がメリットです。

3年の間に介護休業をはさみながら、短時間勤務や時差出勤などを組み合わせることも可能です。

これは、介護離職を防ぐために導入された画期的な制度といえるでしょう。