15分の昼寝が
難関校への合格率を上げた!

 昼食後の睡魔が生理的にやむをえないなら、いっそのことしっかり昼寝をしたほうが午後の眠気が防げるかもしれない……そう考え、なかには実行している人もいるかもしれません。

 昼寝の習慣は、スペインをはじめとするラテン語の文化圏では「シエスタ」と呼ばれ、1つの文化として定着しています。シエスタ(siesta)の語源は、6時間目(sixth hour)にあるといわれ、基本的には日の出から6時間後、「お昼過ぎの休憩」といった意味が込められているようです。
 実際、スペインではランチタイムの後の14~17時頃まではほとんどの店がいったん閉まるため、人通りがほとんどなくなってしまうとか。その間に、短い睡眠をとる人もいるようです。
 半日(約12時間)周期の半概日リズムでは、14~16時に活動力が落ちる眠気のピークがきます。このことから考えても、伝統的に続いてきた14時頃からのシエスタは非常に合理的な習慣といえるかもしれません。

 ただ、問題となるのは睡眠の長さです。
 午後の時間帯にたっぷり睡眠をとってしまうと、体内時計のリズムは狂いやすくなります。人間は日中に活動する昼行性の動物なので、夜に睡眠をとってこそ生体リズムが正常に機能するのです。
 また、生理的に見た場合、いったん深い眠りに入ってしまうと、覚醒後もしばらく頭が働かず、体温もいったん低下するため体も思うように動きません。
 では、どのくらいの長さであれば体にとってプラスの効果があるのでしょうか。

 睡眠研究を専門とする内村直尚氏(久留米大学神経精神医学講座教授)によると、福岡県内で有数の進学校として知られている県立明善高等学校が、2005年から午後の授業前の15分間に昼寝タイムを導入したところ、難関校への合格率が飛躍的に増加したといいます。

 日本ではシエスタのような長い休憩時間はとれませんが、昼食をとりすぎてしまった場合や、前日の睡眠時間が短く寝不足を感じている場合などは、15分程度の昼寝タイムを設けるのもいいでしょう。一般的には、30分以内の短い昼寝であれば、脳機能が回復し、仕事効率もアップすることが知られています。
 パソコンを閉じ、タイマーをセットし、デスクに顔を伏せて眠るようにすると、「体にちょうどいい昼寝」が実践できるでしょう。