日本も今すぐ投資すべき!?
中国が急接近するタンザニアの底力
すべてが右肩上がりのタンザニア
タンザニアへの直接投資額は、旧宗主国のイギリスに次いで中国は第2位となっています。特に製造業への投資が7割を占めていて、道路や橋、ガスパイプライン、港湾といった社会資本(インフラストラクチャー)整備の案件を中国企業が受注しています。
タンザニアにとって、中国はなくてはならない経済パートナーとなっているのです。現に中国は、タンザニアの輸出相手国4位、輸入相手国3位(2014年)です。
しかし、「安かろう悪かろう」の中国製品に対する不満の声も大きいといわれています。ここに日本企業の進出する「隙」があるような気がします。
タンザニアはケニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、南スーダンとともに将来的な単一通貨などの地域統合を目指して東アフリカ共同体を結成。関税同盟が発足しています。
またEUとの間でEPA(経済連携協定)を結ぶなど、今後の経済の活性化が期待されています。これを背景にタンザニアは、サブサハラ・アフリカ(北アフリカを除くアフリカ諸国)の平均値を上回る経済成長を達成しています。
1964年の建国時に1140万人だった人口は、現在は5229万人(2015年)にまで増加し、国連推計によると2050年にはおよそ1億4000万人にまで増加すると考えられています。
近年の経済成長で国民1人当たりの購買力が上がっており、人口増加と相まって、今後のタンザニア市場は非常に魅力的です。
鉱産資源だけでなく、農畜産物などの原材料が豊富で、しかも安価。東アフリカ共同体を背景にアメリカ合衆国やEU向けの輸出には関税がかかりません。
さらに、タンザニア自身が外国資本の投資を最優先政策課題として取り上げており、投資に対して非常に協力的であるといわれています。
新しい投資先として、タンザニアなどはいかがでしょうか?
宮路秀作(みやじ・しゅうさく)
代々木ゼミナール地理講師、日本地理学会企画専門委員
鹿児島市出身。「共通テスト地理」から「東大地理」まで、代々木ゼミナールのすべての地理講座を担当する実力派。地理を通して、現代世界の「なぜ?」「どうして?」を解き明かす講義は、9割以上の生徒から「地理を学んでよかった!」と大好評。講義の指針は「地理とは、地球上の理(ことわり)である」。生徒アンケートは、代ゼミ講師1年目の2008年度から全国1位を獲得し続けており、また高校教員向け講座「教員研修セミナー」の講師や模試作成を担当。いまや「代ゼミの地理の顔」。2017年に刊行した『経済は地理から学べ!』はベストセラーとなり、これが「地理学の啓発・普及に貢献した」と評価され、2017年度の日本地理学会賞(社会貢献部門)を受賞。大学教員を中心に創設された「地理学のアウトリーチ研究グループ」にも加わり、2021年より日本地理学会企画専門委員会委員となる。「Yahoo! ニュース」での連載やラジオ出演、YouTubeチャンネルの運営など幅広く活動。
「土地と資源の奪い合い」から、経済が見える!
経済を動かしているのは地理である。
世界の経済情報を観察していると、そう思えることが多々あります。
なぜ、土地も資源もない日本が経済大国になれたのか?
なぜ、中国は2015年に一人っ子政策をやめたのか?
なぜ、トランプ大統領はTPPから離脱したのか?
これらの因果関係を解明するヒントは「地理」に隠されています。
地理とは、地形や気候といった自然環境を学ぶだけの学問ではありません。農業や工業、貿易、交通、人口、宗教、言語、村落・都市にいたるまで、現代世界で目にする「ありとあらゆる分野」を学びます。
「地理」を英訳すると「Geography」です。これはラテン語の「Geo(地域)」と「Graphia(描く)」からなる合成語といわれています。
現代においては、写真を1枚撮るだけで、自然はもちろんのこと、そこで暮らす人々の衣食住、土地利用など、実にさまざまな情報が写し出されます。
しかし、カメラが存在していなかった時代は、これらの情報をすべて描き出していたのです。まさしく「Geo(地域)」を「Graphia(描く)」。これが地理の本質なのです。
地理とは、表面的な事実の羅列ではありません。「地域」に展開するさまざまな情報を集め、分析し、その独自性を解明するものです。地理を学ぶことで、土地と資源の奪い合いで示される人間の行動に、より深い解釈を加えることが可能です。
仕事に効く「教養としての地理」
本書『経済は地理から学べ!』は、「立地」「資源」「貿易」「人口」「文化」という5つの切り口から、今と、そして未来をつかむための視点を提供します。
地理では、さまざまな要素がかかわり合って「物語」が成り立つことを「景観(けいかん)」といいます。現代世界を単なる出来事として頭に残すのではなく、「誰かに話したくなる」ような、背景知識を持っているだけで世界は面白くなります。
本書を通して、世界の「今」を見定め、そして「未来」を先取りしてください。
『経済は地理から学べ!』
6万部突破のベストセラー!
「立地、資源、貿易、人口、文化」を知れば、世界はこんなに面白い!
★トランプのTPP離脱を読むカギは“国境”
★日本経済を秘かに支える“水の力”とは?
★EU経済の急所は“2つの河”にあり
地理とは、地形や気候といった自然環境を
学ぶだけの学問ではありません。
農業や工業、貿易、流通、人口、宗教、言語にいたるまで、現代世界の「ありとあらゆる分野」を学ぶ学問なのです。
地理という“レンズ”を通せば、ダイナミックな経済の動きを、手に取るように理解できます。
【目次】
序章 経済をつかむ「地理の視点」
第1章 立地:地の利を活かした経済戦略
第2章 資源:資源大国は声が大きい
第3章 貿易:世界中で行われている「駆け引き」とは?
第4章 人口:未来予測の最強ファクター
第5章 文化:衣食住の地域性はなぜ成り立つのか?
特別付録「背景がわかれば、統計は面白い」
地図で読み解く44の視点
地理がわかれば、世界はもっと面白い!