全米で話題沸騰中の21の睡眠メソッドを集約した、『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』。本連載では同書の中心的なメソッドを紹介していきます。食事、ベッド、寝る姿勢、パジャマ――。どんな疲れも超回復し、脳のパフォーマンスを最大化する「睡眠の技術」に注目です!
カモミールは神経系を鎮める
カモミールは何千年も前から治療に使われているハーブだ。皮膚のトラブル、炎症、心疾患などその用途は幅広い。いまでは、古代から活躍してきたこの植物の真の効能を実証する研究がたくさんある。
たとえば、分子医学に特化した『モレキュラー・メディスン・レポーツ』誌に、カモミールに含まれるフラボノイドには強力な抗炎症作用があり、COX-2という酵素の活動を衰えさせて物理的な痛みを和らげるという記事が載っていた。その記事では、カモミールは鎮痛剤や睡眠導入剤として利用可能だとも断言している。
鎮痛効果が現れるのは、アピゲニンと呼ばれるフラボノイドのおかげらしい。これはカモミールティーに豊富に含まれ、脳内のGABA(ガンマアミノ酪酸)受容体と結合する性質があるため、それによって神経系の活動が自然と鎮まる。繰り返しになるが、アピゲニンは食べものや薬草に含まれる天然の化合物なので、身体にいい効果をもたらすと思われる。
悪い副作用がたくさんあるとは考えづらい。また、抗ガン作用の高い化合物にも、アピゲニンは含まれているという。腫瘍学の専門誌『インターナショナル・ジャーナル・オブ・オンコロジー』や薬剤の専門誌『ファーマシューティカル・リサーチ』で、アピゲニンにはさまざまなガン(乳ガン、消化管ガン、皮膚ガン、前立腺ガンなど)を防ぐ効果があり、ガン性細胞を選んで攻撃する性質があることが明らかにされた。
カモミールはこれまで、眠りを誘うハーブとして扱われてきた。現代になってさまざまな実験が行われた結果、その効能が実証されたのはもちろん、ほかにもたくさんのメリットが実証されている。神経系を鎮める効果や筋肉の緊張を緩和する効果をはじめ、身体が睡眠を必要としているときによく眠れるように身体を整える効果もあるという。
カモミールは、寝る前にカモミールティーとしてとるのがいちばんだ。オーガニックのティーバッグで淹れたカモミールティーをカップ1杯飲むだけで、寝る準備はしっかり整う。
神経を鎮めるサプリメント2選
カモミールと違って植物由来のものではないサプリもある。5HTP、GABAはそれぞれ異なる化学物質だが、慎重に量を制限して摂取すれば、さまざまなメリットが期待できる。
5HTPはセロトニンの前駆体となる神経伝達物質だ。先にも説明したように、私たちの体内にあるセロトニンは、メラトニン(よく眠れるようになるホルモン)へと姿を変える。
メリーランド大学メディカル・センターがまとめた調査では、5HTPを摂取したグループは、偽薬を摂取したグループよりも寝つきが早く、眠りも深かった。また、セロトニンを刺激するためには、夜に200~400ミリグラムの5HTPを摂取するのが望ましいという。ただし、効果がはっきりと現れるまでに6~12週間かかるようなので注意が必要だ。
GABAは中枢神経系の重要な神経伝達物質の一つだ。脳内で抑制作用を発揮する主要物質でもあり、興奮を促す物質の働きを抑える役割を果たす。GABAの鎮静作用のおかげで、摂取するとストレスの悪影響が減るという人もいる。GABAの摂取を考えているなら、夜に500ミリグラム摂取することから始めるとよい。あるいは、GABAの前駆体物質である、ピカミロンやフェニバットの摂取を検討してみてもいい。