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任天堂 岩田聡社長インタビュー
「Wii Uはゲームの家庭における存在意味を変え、
ゲーム人口拡大に貢献する」

E3スペシャル(前編)

石島照代 [ジャーナリスト]
【第18回】 2011年6月16日
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任天堂がWii Uのコンセプトを考えたのは4年前
気がついたら世の中にタブレットブームが起きていた

――現行機「Wii」の課題を、Wii Uではどのように生かすのですか。

 Wii Uでは、ユーザーの皆さんがゲームに取り組むまでの敷居を下げるという課題に取り組んでいます。

 Wiiはインターネットからお知らせが届くと前面のディスクスロットが青く光ります。最初のうちはそれだけでもおもしろく感じて、Wiiを立ち上げていただけるのですが、そのうち刺激に慣れると立ち上げるのが面倒になってしまいます。Wiiでは、実際に情報を確認するためにWiiの電源を入れるだけでなく、テレビの電源も入れて、入力もゲーム機に切り替えていただく必要がありましたから。でも、Wii Uではテレビ本体を立ち上げなくても、専用コントローラの画面にタッチするだけで届いた情報が把握できます。このように、立ち上げていただく敷居をあらかじめ下げることで、いつかはやってくる慣れに対応できればと考えています。

 テレビゲームはどうしても“はやりすたり”があります。大ヒットソフトが出ると稼働率が上がり、それに飽きると稼働率が下がってしまうのが、テレビゲームの歴史でもあります。家庭内で日常的に触っていただく頻度を上げることで、この“はやりすたり”のサイクルをなるべくならすことに、今回はトライしてみたいと思っています。その上で、ユーザーの皆さんのゲームに対する敷居を押し下げる意味でも、コントローラに専用画面があるってすごくいいよね、という話になりました。

――形状がアップルの「iPad」に似ているという指摘もあるようですが。

 2011年6月に任天堂がこういうもの(画面付きコントローラ)を発表したのをご覧になった多くの方が、「あ、任天堂はタブレットブームを後追いした」と見えてしまうのも無理はないと思います。ですが、我々からすると、「気がついたらいつの間にか世の中にタブレットブームが起きていた」という感じです。

 というのも、(Wii Uを立ち上げていただく敷居を下げるために)専用画面をどこにつけるべきなのかという議論は、すでに4年も前から続けていました。テレビの横に置いたらどうかとか、様々なバリエーションが検討されたのも事実です。最終的に今の形を決めた後に、世の中にいわゆるタブレット、iPadやアンドロイドと呼ばれる製品が発売されています。これは、我々が「次は3Dにしようか」と思って「ニンテンドー3DS」の準備を進めていたら、映画「アバター」(2009年)が大ヒットして3Dブームが起きたこととよく似ています。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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