脳科学的に効果がわかってきた
そして、忘れてはならないのが、第3の特徴、脳科学アプローチです。
いまや、世界トップクラスのアカデミック・ジャーナルでも、マインドフルネスに関する研究論文は本当にたくさん発表されています。論文の本数は、この15年で100倍に膨らんでいるほどですから、かなりホットなテーマだということがわかると思います。
医師(日・米医師免許)/医学博士(PhD/MD)。日本で臨床および精神薬理の研究に取り組んだあと、イェール大学で先端脳科学研究に携わり、臨床医としてアメリカ屈指の精神医療の現場に8年間にわたり従事する。現在、ロサンゼルスにて「TransHope Medical」院長として、マインドフルネス認知療法やTMS磁気治療など、最先端の治療を取り入れた診療を展開中。臨床医として日米で25年以上のキャリアを持つ。著書に『世界のエリートがやっている最高の休息法』『脳疲労が消える 最高の休息法[CDブック]』(ダイヤモンド社)がある。
そして、マインドフルネスが単なるリラクゼーションと根本的に違うのは、この領域にも脳科学のメスが入り込み、その効果が実証的に解明されている点です。
もはや「なんとなく気分がよくなった」という個人的感覚の次元で議論がされているわけではありません。脳の状態を可視化するテクノロジーの恩恵もあり、マインドフルネスが脳にポジティブな影響をもたらすことが、客観的に実証されているのです。
米マサチューセッツ大学メディカルスクールのジャドソン・ブルワー准教授は、もともと私と同じイェール大学の精神神経学科にいた人物ですが、彼はまさに脳科学を武器にしてマインドフルネスにアプローチしている研究者です。
ブルワーの報告によれば、10年以上の瞑想経験者がマインドフルネスを実践しているときの脳活動を測定すると、DMNを構成する部位(内側前頭前野と後帯状皮質)の活動が見事に低下しているのが観察されました*04。
これはまさに、脳疲労を引き起こす雑念回路の過剰活動が、マインドフルネスによって抑制できるということの強力なエビデンスになります。
これ以外にも、マインドフルネスの効能はさまざまです。
次回(明日公開予定)の記事では、そのあたりを掘り下げていくことにしましょう。