これと同じような効果が期待できるのがマインドフルネスです。

私のクリニックでは、TMSだけでなく、マインドフルネスも治療に取り入れていますが、どちらを体験した患者さんも、同じように「頭がスッキリしました」という感想を口にします。DMNの活動を鎮めるという意味では、メカニズムが同じなのですから、当然と言えば当然なのかもしれません。

ただ、マインドフルネスのほうには、大掛かりな医療機器は必要ありませんし、誰でもいますぐできるという圧倒的な利点があります。私自身はもちろん、私のクリニックで働くスタッフたちも実践しており、その驚くべき効果を実感しています。

マインドフルネスとは結局、何なのか?

……と、ここまで来ると、「それで、マインドフルネスって一体なんなんですか?そろそろ教えてくださいよ!」という読者のみなさんの声が聞こえてきそうです。
ひとまず、よく言われる定義らしきものを、こちらにあげておきましょう。

「評価や判断を加えずに、“いまここ”の経験に対して能動的に注意を向けること」

どうでしょうか? わかるようなわからないような……そんな説明ですよね。これ以外にも表現はありますが、どれも似たり寄ったりでピンと来ないものばかりです。適当な訳語もないので、カタカナで「マインドフルネス」と書くほかありません。

そこで私は、この得体が知れない言葉を次のように説明しています。

「瞑想をベースにした、脳の休息法」

そう、マインドフルネスは一種の瞑想です。

「(え? 瞑想……)」

おそらく日本のみなさんは、瞑想という言葉にちょっとネガティブな印象を持っているのではないでしょうか? 怪しいカルト教団の修行や、住職にピシリと肩を打たれる坐禅を連想するという声が多いようです。

しかし、マインドフルネスを知るうえで、より重要なのは下の3つの特徴です。

【マインドフルネスの3つの特徴】
1. 宗教性を排除 → 徹底した実用性
2. 修行の要素を排除 → 誰でもできるシンプルさ
3. 脳科学アプローチ → 客観的に実証された効果

なぜ「磁気と○○」を使うと、脳疲労が解消するのか?


マインドフルネスの起源は原始仏教にあると言われていますが、その宗教性は徹底的に削ぎ落とされています。東洋の思想や瞑想法のうち、現代人に役立つエッセンスだけを抽出したスキル──それがマインドフルネスなのです。