一流人の驚くほど的確な意思決定の背後には、明らかに常人とは異なる高い教養があります。決定に至った経緯をインタビューすると、さりげなく哲学者の思想が語られる、過去の歴史を引き合いに出し、自らのケースをなぞらえてみせる。単なる勘と度胸による意思決定ではなく、しっかりとした考察に基づいたものであることが窺われるのです。

 典型的な例は、ライフネット生命保険の出口治明代表取締役会長でしょうか。彼はなんと上下二巻に渡る大冊の歴史書を書き上げてしまいました。その知識・見識たるやそんじょそこらの学者をはるかに上回るほどです。

 では、そういった高い教養を一流人はいつ身につけたのでしょうか。教養を身につける基礎はやはり若い時に培ったものだと思いますが、その“若い頃”とはいつのことでしょうか。真剣に学んだのはおそらく、遊びに熱心な学生時代ではなく、仕事を始めたばかりの20代前半でもなく、社会人になってしばらく経った20代後半から30代にかけてではなかったかと想像します。

 ここで言っている教養を身につける基礎とは、もちろんリベラルアーツなどの基礎的な知識という意味もありますが、もう一つ、年を取っても本を読み続けられる力や未知の領域にも関心を持って入っていける力など、知を獲得し、それを磨き続けられる力という意味も含まれます。そうした二つの意味での教養基礎力を磨くのが30代なのです。

 まずは、そうした基礎力をぜひご自身でチェックしてみてください。

 例えば座右の銘はありますか?いつも引き合いに出す歴史上の逸話を持っていますか?考え方の指針としているような哲学や文学の一節がありますか?自らの人生のロールモデルとしているような歴史上の人物はいますか?(もちろん、父親などの身内の方をロールモデルにしてはいけないと言っているわけではありません)

 さらに、周りの人から教養があると見られているでしょうか。読書家だと思われているでしょうか。

 結果がどうも芳しいものでないとしたら、30代の今がラストチャンスなので、何らかの行動変化を強制的にでも自らに強いてみた方がいいでしょう。一流のビジネスパーソンとして恥ずかしくないような準備を今から始めてみてください。

個人指導ゼミや
勉強会に通うのも一つの手

 その努力を一人で行うのが大変であれば、なんらかの勉強会に参加するとか、自ら主宰するのも有効な方法です。

 会社からの派遣でも、個人の資格でも参加できる学びの場はたくさんあります。例えば東京では、慶應MCC(丸の内シティキャンパス)や丸の内朝大学、六本木のアカデミーヒルズなどが有名です。夜でも朝でも、都合の良い時に通えばいいわけです。かく言う私も個人指導のいわば私塾のようなゼミを、大学以外で行っています。

 そうしたゼミの参加者は30代から40代の人が中心ですが、例えば私の個別指導ゼミの場合は1週間に1度、定期的に出席しなければいけません。それが習慣化の始まりです。出席すれば仲間もいる。その場であれば、「こんな本を読みました」という話題が自然と出て恥ずかしくない。