「未来」に投資すれば、「お金」はあとからついてくる
これは、いまも一貫して変わらない方針です。
現在、私は約50社を経営していますが、「お金」を貯めようとはまったく考えていません。既存の事業でしっかりと収益を確保しながら、常に新しいビジネスをつくり出そうと全力を尽くしています。
だから、私は「遊休資産はもたない」ということを社内で徹底しています。何か資産を購入するときには、必ずなんらかの事業に貢献することを条件として認めています。いま、マレーシアは高度成長期にありますから、遊休資産でももっているだけで資産価値は上がっていくかもしれません。しかし、そのような「不労所得」はいらない、と明言しているのです。
それよりも大事なのは、常にビジネスを成功させるために汗をかき続けること。既存の事業を成長させつつ、新しい事業にチャレンジして成功させる。この情熱と能力を常に持ち続けていることこそが、この不確かな世界を生き抜くうえで最大の財産なのです。そのためには、汗をかき続ける覚悟をもつことが欠かせないのです。
そして、「お金」は使うためにある。
新しい事業に「お金」を投資する。言い換えれば、未来に投資するわけです。資本をため込むのではなく、未来に投資をしてよりよい社会を築くために努力をする。これこそが、資本主義の本質ではないでしょうか? この本質を先頭を切って実践することこそが、事業家の役割だと私は思うのです。
重要なのは価値のある事業を志すことです。社会にとって、人々にとって値打ちのある事業に投資をして、成功させるために汗をかく。そうすれば、必ず「お金」はあとからついてくるのです。
もちろん失敗することもあります。私も、これまで70~80の事業にチャレンジをしてきましたが、残っているのは50。20~30の事業は失敗でした。失敗したときには大きな痛みを伴います。しかし、命までは取られない範囲でリスクを取っている限り、再起は可能です。そして、失敗から学ぶことで、確実に成功率を高めることができるのです。