恵まれた立地に見えるが…

全長約6kmの、参ロード(まいろーど)。現在のえちぜん鉄道の永平寺口駅から、永平寺門前駅までの旧永平寺線跡地を利用した遊歩道 Photo by Kenji Momota

 人口1万8898人、世帯6251世帯、総面積94.43km2の永平寺町は、えちぜん鉄道に沿うように東西に長い形をしている。また、永平寺がある山側と、九頭竜川の周辺の平地側に分かれており、産業としては山側は永平寺の観光業が主体で、平地側には化学産業などの繊維産業の拠点がある。また、九頭竜川を挟んだ北側には、国立福井大学の医学部・大学病院と福井県立大学のキャンパス、さらに理美容の専門学校があるなど、多彩な産業が集う地だ。

 人口に占める65歳以上の割合である高齢化率は27.5%であり、町の継続的な維持が難しくなる、いわゆる限界集落(高齢化集落)ではない。しかし、この数字は在学中だけ永平寺町内に居住する大学生や専門学校生によって引き下げられており、実際には永住者の高齢化がかなり進んでいる。

 また、永平寺町は都市圏である福井市に隣接しているため、町内での自主財源となるような産業が育ちにくい。さらに、町内の小学校・中学校は給食費が無償で家計にやさしいのだが、子どもが高校生になるタイミングで福井市内などの都市圏へ転居する傾向もあり、就労年代が町内から減少する動きが止まらないという事情もある。

 筆者は今回の取材で永平寺町を初めて訪問したが、宿泊したJR福井駅前から永平寺町役場までのレンタカー移動は約8キロメートルで、朝の通勤通学時間でも20分弱で到着した。

 永平寺という観光資源、さらに国立と県立の大学があるなど、永平寺町は“恵まれた地方都市”というのが、筆者の第一印象だった。

 しかし、取材を通じて各方面からは、町が将来に向けて抱える課題に対する危機感と、それを打破するための強い決意と心構えを感じた。