社員だけではなく
アルバイトも巻き込みたい

 ヴィクセスでは現在、Talknoteを使っているのは社員のみで、アルバイトスタッフは使用していません。

 アルバイトとのコミュニケーションは、店舗ごとにLINEのグループを作り、必要な情報はそのLINEグループ内で共有しています。

 コミュニケーション上手な店長は、Talknoteで自店のアルバイトのことを投稿したら、必ず同じ文面をLINEグループにも投稿して、「こんな内容のことを投稿したよ」「ほかの社員の人たちも褒めていたよ」と自分の店のアルバイトスタッフにも報告をしてあげているそうです。

 社員同士のコミュニケーションが十分にとれるようになった今、齊藤さんは「Talknoteを通じて、もっとアルバイトと絡んでいきたい」という思いを持っています。

齊藤 「店舗の最前線でお客さまと接するのはアルバイトの子たちです。Talknoteでやりとりしている情報をアルバイトスタッフとも共有して、彼らが自ら考えて動いてくれるようになれば、組織としては100点かなと思います」

 ヴィクセスの事例を通じて、私はあらためて「組織におけるコミュニケーションの大切さ」を認識させられる思いがしました。

 コミュニケーションの絶対量が少なく、従業員の考えや行動に対するフィードバックが少ないと、やがてその組織に属する人たちは「何をどうすればいいんだろう?」と迷ったり、不安を感じたりするようになり、組織としてのまとまりもなくなっていきます。

 経営者がどんなに高い理想を掲げていても、コミュニケーションが希薄であればそれは現場のスタッフには伝わりません。社内コミュニケーションにおいて最も大切なのは「質」ではなく「量」なのだと思うのです。社長がその思いをスタッフに理解してもらいたければ、言葉を選び抜いたメッセージを月に一通共有するのではなく、常日頃からカジュアルなやりとりを通じて思いを伝えるようにした方が、よほど深く理解してもらえるはずです。

 あるいは、従業員が感じたことや行動したことを逐一共有して、それに対してコメントをもらったり、「いいね!」を押してもらうことが積み重なっていけば、従業員の中に「自分たちはどういう行動を求められているのか」「何をすれば、評価されたり、褒められるのか」という価値基準も構築されていくでしょう。

 日常の業務の中で社長と接する機会のほとんどない現場の従業員にとっては、社内SNSを導入することによって、経営者と接点を持つことが可能になります。そこでは、時間や空間の限界を軽々と超えて、日本中にいる社員がいつでも経営者とコミュニケーションできるようになるのです。社内SNSで社長と直接やりとりをすることができれば、そこから大きな喜びや自信を得て、仕事へのモチベーションも高まるのではないでしょうか。
 
 多店舗展開する飲食店では、月イチでの店長会議やメール、ファックスでの限定的、散発的なコミュニケーションがまだまだ多いと思います。

 しかし、Talknoteのような社内SNSを使って、全従業員を巻き込んだフラットでスピーディなコミュニケーションができるようになれば、おのずと一人一人の働き方や会社としての競争力は変わってくるはずです。ひいては、従業員のモチベーションを高め、貴重な人材の定着率を高めることにも繋がっていくのです。
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