重くかさばるモノかどうかで
消費者の購買行動は変わる

 また、消費者と商品の“導線”が、今後は逆ベクトルになる。これまでは、消費者が宅配受取ポイントとして固定されており、商品が消費者の元へ運ばれる仕組みであった。これに対し、前述したアマゾン・フレッシュ・ピックアップは、全く逆の導線である。消費者側から店舗へと自ら都合の良い時間に移動をして行き、事前に注文していた商品を店舗で受け取るという導線になる。

 消費者側が店舗へ赴き受け取る商品は、その食品スーパーが扱っている食品に限る必要は全くない。アマゾンで事前に注文しておいた本やシャンプーなど、物理的な劣化の少ない商品を留め置きしておいてもらって、食品と同時に受け取ることで消費者の時間効率は格段に高まることとなる。こうした試みは、食品という商品が他の商品と比べて、圧倒的に高い購買頻度を有しているために可能となる仕組みである。

 今後の食品の物流は二つにカテゴリー分けされるであろう。それは、生鮮食品や加工食品かといった「商品カテゴリー」によるものではない。それは、“重くてかさばる”か、そうでないかという原始的な区分けである。

 消費者は重くてかさばるものだけを自宅配送の宅配で注文し、恐らくそれに対するなにがしかの対価を払うこととなる。一方、物理的劣化の早い食品については、事前注文した商品をリアル店舗でピックアップするような仕組みとなろう。

 食品以外の商品についても同様である。“重くてかさばる”ものだけが自宅配送の商品となり、それ以外はアマゾンと連携した食品スーパー、宅配受取拠点、宅配ボックスなどで時間を気にせず受け取るような仕組みが出来上がると思われる。その方が、家で何時間も宅配を待つよりも、時間効率が高いためである。

 アマゾンによるホールフーズの買収は、アマゾンにとって最後に残された大きなカテゴリーである食品に取り掛かるという意味だけでなく、リアル店舗を保有したアマゾンが物流・宅配の流れをも変化させるかもしれない壮大な実験になっていく可能性を秘めている。

(フロンティア・マネジメント代表取締役 松岡 真宏)