「民間企業で働くより、ボランティア活動で社会貢献したい」
近年、このように仕事よりもボランティアなどを通じた社会貢献活動に意欲を燃やす人々が増加しています。「民間企業は“社会に貢献していない”と感じてしまうのだろうか…」という疑問は残るものの、ボランティア活動に対する意識が高まったことは素晴らしいことです。また、そうした人々の動きを受けて、ボランティア活動を促進・支援するための休暇制度を導入する企業も増えてきました。
ただし、企業のなかはボランティア推進派ばかりではありません。「会社の業務効率を下げるやっかいもの」と言い切る管理職もいるのが実態です。
こうしたボランティア活動をめぐる職場における意識のギャップは、今後、埋めることができるのでしょうか。今回は、東日本大震災後により増加したボランティア活動の実態も交えて、このギャップの解消法を考えていきましょう。
東日本大震災をきっかけに
ボランティア休暇を導入する企業が急増
東日本大震災の被災地支援をきっかけに、民間ボランティアの活動に対する注目度は以前よりも格段に高まりました。こうしたボランティア活動の担い手には、NPOやNGO団体で専業として活動する人々だけでなく、普段は民間企業で仕事をしながら活動する“兼業ボランティア”も少なくありません。
都内のメーカーに勤務するDさん(33歳)は、学生時代に東北出身の友人が数多くいたため、今回の震災に対する想いが強く、
「是非とも、自分が東北の力になりたい」
と決意して、会社のボランティア休暇を上司に申請しました。上司も快く承認してくれたので、
「連休に有給を加えて10日間、石巻でがれき撤去のボランティアに行ってきます」
と、夏休みを返上して、東北に行くことにしたそうです。
実際に東日本大震災後、こうしたボランティア休暇を申請するビジネスパーソンが急増しています。日経ビジネスオンラインの調査によると、ビジネスパーソンのなんと約4割が「ボランティア活動をしたことがある」と回答。さらに ボランティア活動をまだしていない回答者も約6割が「したいと思っている」と答えていました。もちろんボランティア活動に関心のある人が多く回答を寄せたために、このような結果になったとも考えられますが、いずれにせよ意欲の高さを垣間見ることが出来ます。こうしたボランティアに対する関心が最初に高まったのは阪神・淡路大震災がきっかけのようです。
ちなみにボランティア休暇とは、企業が従業員のボランティア活動への参加を支援・奨励する目的で、有給の休暇・休職を認める制度。1990年代初頭から、労働時間短縮や企業に対する社会貢献の要請(いわゆるCSR活動)の高まりをうけて、富士ゼロックス社が初めて採用したと言われています。