前出の調査によると、69.1%の人が、エスカレーターの歩行はやめたほうがいいと回答している。にもかかわらずいまだにやめられないのは、一つにはすでに指摘した「他の人の常識が変わらないまま、自分だけ正しいルールを守ってしまうと、実際の通行に支障が出たり、トラブルになってしまったりする」ということがある。つまりこの問題は、全員が一斉にルールを守るようにならない限り、解決が難しいのだ。本気で浸透させたいのならば、それこそ罰則規定でも設けて、周知していくしか手はないのかもしれない。

それでもエスカレーターで歩きたい人々

 エスカレーターのルールがいまいち浸透しないもう一つの理由は、やはり「急いでいるときに、片側を歩く需要が根強く存在していること」という事実があると思う。

 読者の中にも、いけないことだとわかっていても、急いでいるときは歩行してしまう人はいるのではないか。特に駅のエスカレーターには、先を急いでいる利用者が多い。「早くしないと、電車の時間に間に合わない」と焦っている人が、歩行どころか猛ダッシュして駆け上がる姿を見ることもたびたびある。そんなときに、歩行側に立ち止まっていては、客同士のトラブルになることに加え、衝突の危険も伴う。

 問題はさまざまあるが、まずは一刻も早く電車に乗らなければいけない、というマインドを持たなくても済むような、ゆとりある社会を実現するべきなのかもしれない。そう考えると、この「エスカレーターの“片側空け”や“歩行”は誤った常識である」という、正しい常識が浸透するのには、まだまだ時間がかかりそうである。

 あなたは、このB級新常識をどう感じただろうか。当連載についてご意見がある方、もしくは「こんな常識を取り上げてもらいたい」という情報をお持ちの方は、筆者のTwitterアカウントにご連絡いただきたい。すべてには返信できないが、必ず目を通したいと思う。

(フリーライター 宮崎智之)