現在、ビットコインの仕様(規格)改善をめぐって複数の提案が競合しており、8月1日ごろに取引が混乱する可能性がある。場合によっては、ビットコインの分裂もあり得る。
7月18日には、取引所などの事業者で作る日本仮想通貨事業者協会が「取引の混乱が予想される」として、国内13の取引所で、8月1日から取引を一時停止すると発表した。どうしてこういう事態になったのか。
議論や提案の経緯は、先週の本コラム(『ビットコインを分裂させかねない「フォーク」とは何か』)で述べた。
システム「拡張」の方法として(1)2015年8月に、ビットコインの取引を記録する「ブロック」のサイズの拡張案(ビットコインXT)が提案されたが、受け入れられなかった。扱えるコンピュータが限られることや、新仕様を採用するとそれまでの旧仕様は扱えず、利用のためには強制的にバージョンアップを求めるやり方(ハードフォーク)だったからだ。
その後、(2)15年12月に「Segwit」という画期的な規格の提案がなされた。取引データの電子署名の部分を別枠扱いにすることで、ブロックの情報を圧縮、その分、取引の処理速度が上がる。さらに旧仕様のブロックも含めてすべて使えるようにした(ソフトフォーク)ものだった。
だがいまでも、仕様などの提案で3つのアプローチが併存する。
その後の新たな提案や支持・不支持の動きは、つぎのとおりだ。