「がん保険」は解約返戻金がない。
なのにこの価格?
いかがでしょうか?私はこの比較から、やはり「がん保険」は「会社の取り分が断然大きな保険」なのだろう、と感じています。仮に「がん保険」と「三大疾病終身保険」の双方とも、契約者が1万人いると仮定してみましょう。「三大疾病終身保険」からは1万人全員にいつか必ず200万円が支払われるので、保険金の支払いに要するお金は、200万円×1万人=200億円です。
これに対して「がん保険」からの保険金支払いは、女性の「5人に2人ががんになる」ことから、1万人中4000人に発生するとします。すると、1人あたり500万円の保険金支払いが行われると、4000人×500万円=200億円で「三大疾病終身保険」の保険金支払い総額と同じになります。
診断時に200万円が支払われた後、がんに罹った加入者全員が150日間、入院または通院を繰り返し「日額2万円×150日=300万円」になることで到達する金額です。入院は短期化していますし、保険会社の広告によると、通院給付金の対象になる抗がん剤治療を受ける人は、がんに罹った人の約半数ということです。
それ以前に、「がん保険」に加入できる人の罹患率は5人に2人だろうか?とも想像すると、150日分の給付は、変な言い方ですが、難関のように感じます。そして、なぜ「がん保険」の保険料が「三大疾病終身保険」より高くなるのか理解に苦しみます。解約時に払い戻される「解約返戻金」の問題もあるからです。
「がん保険」には「解約返戻金」がありませんが、「三大疾病終身保険」は違います。今回の試算例では、60歳時点で解約しても約139万円が払戻しされるのです。それまでに払い込んだ保険料の90%を超える金額です。
通常、同程度の保険金額の場合、「がん保険」のような「掛け捨て」の保険と相当額の「解約返戻金がある保険」では、後者の保険料が断然高くなります。今日・明日にでも発生するかもしれない保険金支払いに備えるための、いわゆる「掛け捨て」部分のお金とは別に、「積み立て」部分に回るお金もお客様から頂く仕組みだからです。
したがって、解約返戻金が見込まれる保険を利用したい向きは、「多額の保険料が払込期間中に拘束される点にどこまで納得できるか」という話になるものです。それが、今回の比較では、この図式も当てはまりません。「お客様が払い込む『がん保険』の保険料は、いったいどこに消えているのだろう?」と思います。