長期なら金利は為替に負けない
米国債は、米ドル建てですから、日本円に戻す場合は為替レートの影響を受けます。そこで、「金利収入を得られても為替差損が出たらプラマイゼロか、場合によってはマイナスになるんじゃないの?」という声もありそうです。
これは半分当たっています。つまり、投資期間が短期の場合は、金利の積み上げが足りないため、為替が大きく動いた場合は金利による利益が吹っ飛んでしまうことも考えられます。しかし、長期投資の場合は、長期間に渡って金利が貯まっているので、ちょっとやそっとの為替差損では利益は吹き飛びません。
では、過去の米国債の投資結果を見てみましょう。
1980年、1990年、2000年のそれぞれ年初に米国債に1万ドル投資したら2010年末にいくらになったか、です。それぞれ、30年、20年、10年の投資期間になります。
・1980年初に1万ドル投資 → 2010年末に23万4700ドルに
・1990年初に1万ドル投資 → 2010年末に4万8900ドルに
・2000年初に1万ドル投資 → 2010年末に1万9100ドルに
日本円にしてみます。為替レートは
・1980年初は1ドル238円 → 2010年末は1ドル83円
1980年初に米国債を買った場合、1万ドルは2010年末には23万4700ドルと、23倍にもなりました。しかし、非常に大きく円高になったため為替単独では損をしています(3分の1になっていますね)。
結果、円に換算すると当初の投資資金は8倍になったことになります。
以下、同じように、投資開始時点での為替と2010年末時点の為替を考慮して円建てでのリターンを計算すると、
・1990年初に投資した分は、日本円で換算して2.78倍に
(1990年初の為替レートは1ドル146円)
・2000年初に投資した分は、日本円で換算して1.55倍に
(2000年初の為替レートは1ドル102円)
いずれも大きく円高に向かったため為替では損を出していますが、金利込みでは利益が出ています(詳細は本に書きましたので、ご覧になっていただければと思います)。
今後、為替がどう動くかはわかりませんが、円安に向かえば、今度は逆に金利と為替の両方で利益が出ることになります。
いかがでしょうか。米国債に関するみなさんのイメージが少し変わったのではないでしょうか。
明日以降も、債券投資について新鮮な情報をお届けしたいと思います。ご期待ください。
ラインナップ(予定)
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