アメリカは本当に危ないのか?

 問題は「理由3で米国債はデフォルトしないと言っているけど、それは本当なのか?」ということでしょう。

 米国債は格下げされたし、一時はデフォルトの危機などという報道もされました。

 格下げについては、連載の1回目で書きましたのでそちらを見ていただくことにして、付け加えるなら、アメリカは今も、3大格付会社のうち2社(ムーディーズ、フィッチ)よりAAAの格付けを得ています。

 ロイター通信によると、8月16日にフィッチは「米国債のトリプルAを据え置き、見通しは安定的。米国の並外れた信用の高さの主な柱である、世界的な金融システムで米国が果たしている役割、米国の歳入の源となっている柔軟で多様化された豊かな経済が失われていないことを反映している」とコメントしています。

 デフォルト騒動については、アメリカでは、国債の発行額に上限が決められており、今回、上限額に到達してしまったので、その上限を切り上げることについて議会でもめていたのでした。上限額を上げないとこれ以上国債を発行できなくなりますから、公務員の給与を払えなくなったり、社会保障を大幅カットしなければならなかったりしてみんなが困ります。それでも上限を切り上げることに反対する議員が多かったのは、国の借金を増やすことに加担したとそれぞれの議員が思われたくなかったからです。一応、「俺は反対したぞ」という“事実”を残しておきたかったのです。

 アメリカはこのように、国債発行額に制限を設けています。上限を切り上げる時も手続きを踏んでいます。日本のように事実上制限なく国債を発行できるようになっていない分、規律が利いていて、逆に私など安心できますがいかがでしょうか。

 ちなみに、GDPに占める政府債務の割合は、

アメリカが75%

日本が200%

 です。日本とアメリカ、破綻するとしたらどちらが先か。答えは出ている気がします。

米国債はみんなのもの

 さらにもう一つ言っておきたいことは、米国債は世界中の国、それに準ずる機関、国が運用しているファンド、機関投資家らが保有しているということです。

 つまり、米国債にもしものことがあれば、その惨状は世界を巻き込みます。一方、日本国債の外国人保有率はわずか5%ですから、日本国債がどうにかなっても被害を受けるのはほとんど日本人だけです。世界にとっては他人事ですから救済もあまり期待できません。 

 しかし米国債となれば世界中が当事者ですから、それは必死で救済策を考えるはずです。

 米国債は、世界の金融市場が大きく混乱するとき、必ず買われます。世界を動き回るマネーが株式市場などから超安全な米国債市場に逃げてくるのです。これを「フライト・トゥー・クオリティ」(質への逃避)と言いますが、今回の米国債のデフォルトのカラ騒ぎや、格下げ時でもそれが起こり、米国債は買われました。

 みんなどこが一番安全かわかっているのです。