中国は国家レベルで
「日本の土地」の買収を進めている

「(法案が)つるされちゃって」──と、廃案で一件落着であるかのように語った自民党議員、外資による国土買収への対処のことなど、まったく念頭にないかのように構えていた旧民主党議員──。こうした政治家の顔がいまも脳裡に浮かぶ。国土が外国資本、とりわけ中国人に買収され続けている事態を、事実上放置し続けて現在に至っていることに関しては、日本の政治家のほぼ全員に重い責任がある。

国土を買い取られることは、国を奪われることだ。わが国の国土を猛烈な勢いで買い取る中国の意図を注意深く読み取るべきだ。北海道で数百ヘクタールの土地が買われた、水源地が買われたなどの個別の現地情報を追っても全体像は見えない。日本列島全体で、離島、水際、戦略的な土地を中心に中国の買収の手が広がっている。中国の膨張政策がわが国の国土買収に反映されているのは間違いないだろう。

「産経新聞」の宮本雅史氏、『日本、買います』(新潮社)の著者である平野秀樹氏なども指摘するように、沖縄県での中国資本による買収は凄まじい。鹿児島県奄美でも長崎県五島列島でも、島根県隠岐、北海道、新潟県佐渡でも同様だ。中田氏が語る。

「2013年、私は対馬の問題を国会で取り上げました。自衛隊基地周辺がほとんど韓国資本に買われている現状を指摘し、政府の対応を求めました」

そのときの安倍首相の回答は、今回とほとんど変わらない。変わらないということは、この3年間、政府は何もなし得ていないということだ。

安倍政権が大きな課題に挑戦してきたことは確かだ。しかし中国資本に日本を買い取られないために、いま首相の本気度が問われている。自民党幹事長の二階俊博氏は、外資の土地購入制限に否定的と言われるが、実力者としてこの点について首相をどこまで強力に支えるかも、国土問題をどう解決するかの決定的要素になる。

従来の経緯だけを見れば、また失望しかねない状況が、つい頭に浮かぶ。そうではなく、100年後まで日本を守り通す気持ちで、立派な法律をつくることが、全政治家の責任である。国土があってこそ国が存在するという当然の事実を、私たち国民の側も認識しなければならない。