

もうひとつのチャターの利用方法は、社内と顧客企業を結ぶコミュニケーション用だ。たとえば、ある製品開発で、社内の企画部と社外のエンジニアがグループとなってこれを使えば、メール以上に素早く、全員で情報を共有することができる。ファイルを共有したり、そのファイルのアップデートを自動的に知ったりできるので、プロジェクトに集中して、効率的に進行することが可能になる。
セールスフォースでは、チャターを利用すれば、ミーティングが27%減り、メールが30%減少し、顧客からの対応率が36%上昇し、求める情報を入手するスピードが52%上がると、その利点を分析している。同社の顧客企業10万4000社のうち、すでに10万社がチャターを導入したという。
セールスフォースは毎年、世界中の顧客企業や開発者が一堂に会する「ドリームフォース」というコンファレンスを開催しているが、今年9月初頭に行われた2011年度のドリーフォースのテーマは、まさしく「ソーシャル・エンタープライズ」だった。
それが意味するのは、もはや企業もその内外でソーシャルネットワーク的なコミュニケーションなしには成り立たないというものだ。情報をグループ全員に公開し、メンバーがそれぞれに意見を述べたりコメントをつけたりする。そうしたことを断続的に行い、コラボレーション能力をつけ、みんなでプロジェクト達成の目標に向かうという図だ。
同社は、チャターをインターフェイスにして、そこからCRMや営業データなどにアクセスできるようなスクリーン構成まで行っている。また人だけでなく、ドキュメントやデータなどのビジネスオブジェクトもフォローできる。わざわざそこへアクセスせずとも、チャターのしくみによって自動的に自分の元へ情報が入ってくる。