「紙一重」を見極める力をつける方法
往生際が悪いのか否か――。
これを見極めるのは、非常に難しい問題です。
最初から利益が出る事業などほとんどありませんから、最初は赤字でもがんばって黒字にしていく必要があります。ここは、根性が必要な局面です。しかし、「今は赤字でも改善できる可能性はあるのか」「その改善のスピードで財務的に持ちこたえることができるか」などを冷静に洞察する力が不可欠。この洞察力を欠いた根性は、往生際の悪さに直結してしまうのです。
では、この洞察力をどう養えばいいのか? 経営学を学ぶのもひとつの方法だとは思いますが、やはり実体験を積むしかないというのが、私の考えです。客観的に学ぶのではなく、自ら渦中に身を置いて、「往生際の悪さ」の怖さを身体で学ぶことによって、いわば動物的な勘として「危険信号」を察知できるようになる。そして、洞察力も身につけることができると思うからです。
その意味では、やはり根性が大切と言えるでしょう。
なぜなら、根性があるから、ときに私たちはあきらめることができずに、がんばってしまう。その結果、大怪我をしてしまうこともあるでしょう。しかし、その経験から「根性」と「往生際の悪さ」の紙一重の違いを理解できるようになるのです。
だから、大事なのは、何事にも根性をもって取り組むこと。若いうちは、往生際を間違えることもあるでしょうが、そこから謙虚な気持ちで教訓を学ぶことで「洞察力」を磨くことができるのです。根性がなければ失敗も少ないでしょうが、学びも少ないのです。
そして、本当に根性が問われるのは、そのあとです。
そこで腐ったり、あきらめたりするのではなく、「迷惑をかけない」ためのダメージコントロールに全力を尽くし、失敗から得た教訓を身体に刻み込む。そして、また新たなチャレンジに取り組む。この根性さえあれば、経験を重ねるうちに一歩ずつ成功に近づいていくことができるはずです。