であるならば、新法のもとで来年7月以降、メガソーラーができれば、年間1000万kWは設置される可能性がある。これを1kWあたり30万円で試算すると、合計3兆円にのぼるプロジェクトがうまれることになる。それ以外に風力発電など他の自然エネルギー関連事業も動き出すので、経済効果的な貢献だけを見ても非常に大きい。

 一方、こうした自然エネルギーの普及コストが、家庭の電気料金に転嫁されることに批判があることも、もちろん知っている。試算では、約10年後に標準的な家庭で約150円程度負担せねばならなくなると言われている。

 しかし、自然エネルギーを普及させなければ、その分だけ化石燃料の調達コストが上乗せされることも見る必要がある。それを考慮すれば、相対的には、自然エネルギー普及のコストのほうが安いのである。

 また、自然エネルギーを普及させることは大切ながら、単にモノができるだけではダメだ。

 たとえば一部の自治体が「土地代をタダにするから、一番にメガソーラーをウチにつくってください」などと言っている。だがこれは、自治体の責任放棄だ。地域社会と自然エネルギーとの関係について、あるべき姿やビジョン、住民参加などの新しいルールなどを考え整える責任が自治体にはある。

思い出すべきは黒船来航時の心意気
日本は今、歴史的転換点にいる

 福島の原発事故をきっかけに、これから歴史的転換を起こす――それに、世界中が注目している。孫さんが財団設立に際してぶち上げた「アジア・スーパーグリッド」構想は、福島の原発事故のあとで日本から世界に向けて発信された、唯一かつ初めての未来志向の構想といえる。