多少の荒れを許してもよい場合、抑えるべき場合
さて、コミュニティの「荒れ」は、いざというときのための対処と、常連がつくる空気による牽制をもって抑えられます。しかし、より詳細に企業コミュニティの現場を観察していると、少しは荒れたほうが活性を見せるというようなケースにも遭遇します。異分子が出現することで、場の結束力が高まることもありました。
あまりガチガチに対処や空気で縛るよりも、多少の荒れを覚悟で自由度を許したほうが場は活性する。クリアにしすぎてもダメだと学びました。
そうはいっても、薬事法や金取法にからむ商品やサービスを扱う企業にとっては、わずかな問題も見逃せません。そのようなケースでは、コミュニティの活性を犠牲にしてでも、荒れをゼロにする方策をとります。
たとえば、すべての投稿を必ず一度チェックをしてから場に公開するというルールや、投稿できる参加者を絞り、ほかの大多数は閲覧のみに制限するというルールを設定します。
また、それほど神経質になる必要のない商品やサービスでも、上層部の不安が強く、企業コミュニティの開設に二の足を踏むケースもあります。
現実は、インターネット上のあらゆる場所で自社についての話題はされており、これを企業がコントロールすることができない以上、もはや、企業サイトに味方を育て外部のサイトを牽制することで、無防備からの脱却を図るという以外に方法はないのですが、正論を正論としてぶつけていても前には進みません。
つい最近まで、NGワードとドレスコードを重視するマス・マーケティングが中心だったことを考えれば、その時代に常勝であった企業の上層部が不安の声を上げることは、ごく当然ともいえます。