アイロンでぱりっとした洋服
自転車は2台持ち!

 ブルーシート住民のひとり、70代と思しき男性はこう語った。その服装はよく洗濯されたもので、アイロンもかけられていることが、一目でわかるものだ。年齢を聞くと一瞬、顔が曇る。そして、「それはちょっと勘弁してよ」と小声で言う。

「いろいろあるわね。ま、そんなことより、これ、ちょっと見てよ!」

自転車は「仕事用」と「プライベート用」の2台持ち。ゴミ袋1つ分のアルミ缶を売れば、およそ300円になるという

 男性は話題を変えるかのように、自らの住みかであるブルーシート横にある、ゴミ袋に入ったアルミ缶を指さす。

「これ、1袋で300円くらいかな?今、全部で10袋あるから3000円くらいかな…」

 ゴミ袋の横には自転車が2台、リヤカーが1台置かれている。自転車の1台にはリヤカーを接続する器具が装着されていた。聞けば、1台は「仕事用」、もう1台は「プライベート用」だという。

「やっぱりね、仕事とプライベート、分けたいじゃない?それで2台持ってるんだよ」

ブルーシート内部には、アイロン掛けされたものや、クリーニングから戻ってきた衣類も。ここのホームレスたちは皆、清潔感があった

 アルミ缶を集めては仕事用自転車に載せて工場まで持っていき、換金してもらうのだという。だが、もちろんこれだけでは生計は成り立たない。

「だから、他の仕事もしてるんだ。日雇いで工事現場とか警備、工場とかね。今度、泊まり込みで3日くらい留守にするけどさ…、それで3万5000円くらいもらえるかな。ちょっと待ってね!」

 男性は記者にそう言うなり、ポケットからスマホを取り出し、何やら話を始めた。途中、片手で合掌するような仕草をしながら、小声で「すまんね」と言う。電話が終わると、記者にこう言った。

「いや、別の現場の仕事の依頼でね。結構忙しくしているんだ。月のうち、10日くらいは“出張”してることもあるから、ここに居ないことも多いんだよね」