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IT企業はぜひ活用したい優遇措置
「研究開発税制」ってどんなもの?

会計ソフトで整理すれば準備OK

宮口貴志 [KaikeiZine編集長]
【第2回】 2011年10月5日
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会計ソフトを使って
研究開発費を整理する

 それでは、中小企業のような業務の境目の判断が難しい組織で研究開発費を把握するにはどうしたらよいでしょうか。

 これはあくまで一つの方法ですが、会計ソフトを活用することで、ある程度研究開発に投下しているおカネを把握することができます。

 市販の会計ソフトならほとんど、勘定科目を入力したときに補助科目が作成できますので、補助科目として「研究開発費」を設定するやり方で処理をしていきます。

 まず、研究開発に必要と思われる勘定科目をすべて抽出します。材料費、賃金、外注加工費はもちろん、水道光熱費、家賃、消耗品費、修繕費、固定資産の減価償却費…などなど。

 次に、これらの勘定科目それぞれに「研究開発費」という補助科目を設定しておき、材料や賃金などを研究開発のために使った場合の費用をこの補助科目に振り分けます。「消耗品」を例にとれば、試算表では「消耗品費」として表示され、決算のときには、補助科目から研究開発に使った消耗品のみを抽出することができます。

 気をつけたいのは、材料費や外注加工費、消耗品費などは通常業務に使ったか、研究開発に使ったかを比較的区別しやすいのですが、賃金や水道光熱費は境目がわかりづらいだけに処理が難しいという点です。

 そこでこうした項目には、試験開発に関する会議、そのための活動、従事した労働時間(期間や午前・午後区分、時間)などを明記して処理していきます。たとえば家賃の場合、通常業務と研究業務を同じ建物で実施したならば、使用している床面積で費用を案分することも一案です。

 大切なのは、税務当局に対して明確に説明できるよう、帳簿をわかりやすくしておくことです。決まった形はないので、税務当局に対する理論武装を意識して作成できればOKですが、できれば顧問先の会計事務所にアドバイスを受けながらトライするのがベストでしょう。

 慣れるまでは処理が面倒ですが、一度チャレンジして仕組みさえ作ってしまえば、税制が有効な限り優遇措置を受けられます。指をくわえて見逃しておくのはもったいない税制措置です。ぜひ活用してください。

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宮口貴志
[KaikeiZine編集長]

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長を務める。
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