2017年「SIJ岡山」開会式スピーチ

 今回は、2017年「SIJ岡山」の開会式での私のスピーチ(英語)の一部を日本語訳にしてみました(一部オリジナルと変えています)。

 面白いことに、スピーチはいつも英語で書くのであとで日本語にすると、必ず違いが出てきます。実際に話した英語と日本語訳をお読みになりたい方はこちらのサイト(http://dirigo-edu.com/archives/7776)にどうぞ。

 ここでは、その日本語訳の中で、私が最も大切にしていることを抜粋しましょう。

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「アインシュタインが、もしお父さんの言うことをきいてその通りにしていたら、普通のエンジニアになっていたでしょう。しかしアインシュタインは、純粋に自分の道を貫きました」

 これはハーバード大学の2012年の入学式の祝辞で、当時の学長ファウストさんが新入生に語ったスピーチです。ハーバードに入学するために日本からアメリカに渡ったばかりの娘と引越しの手伝いに訪れた私も拝聴していました。

 若者は経験豊富な成功者のアドバイスを聞くとよい、とよく言われますが、長い人生では自分自身の足で立つことになります。そのためには、まず自分を信じて、信念に従ってやり抜くことです。今この瞬間瞬間の意思決定は、自分の未来を決定するとても重要な時間なのです。

 SIJの始まりはこうでした。2013年、おんせん県大分の別府温泉に浸かっていた時、「ここに、世界中の若者が集って、意見交換をしたり、知らないことを身につけたりしたら楽しいだろうな。」と私は突然ひらめいたのです。早速翌日、私は英語ワークショップの授業カリキュラムを作り、たくさんの教室用の部屋とコンサートホールを予約してお金を払い、観光用の場所も予約しました。

 当時ハーバード大1年だった娘に、キャンパスで学生たちにこのプログラムの宣伝をするように依頼しました。受講生用のホームページも作りました。その日から、長い待ち時間が締め切り当日まで続きました。アーノルド・ローベルの本「かえるくんとがまくんシリーズ」に「手紙」というお話があります。まさに、来ない手紙をいつまでも待つがまくんの心境でした。本当に大丈夫なのかしら?不安になる私に、娘は落ち着いてこう言いました。
「ハーバード生は、締め切り直前に行動するから大丈夫」

 さあ、夜中の11時59分、締め切りまであと1分になりました。血の気がだんだん引いていきます。これで終わりか、と思った瞬間、ハーバードからものすごい数のメールが私のパソコンに次々とやってきたのです。
 もし私が、失敗を恐れて途中で全てを投げ出していたら、予約も全てキャンセルしていたら、SIJは誕生していなかったでしょう。みなさんにここで会うこともなかったでしょう。

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毎年ハーバードから
約100人の応募が!

 あれから5年、SIJには毎年ハーバードから約100人の応募があり、スタンフォード、ジュリアード音楽院、UTオースチン(テキサス大学オースティン校)など他大学からも希望者がいます(SIJ大分にはニューヨークのジュリアード音楽院から弦楽四重奏団がやってきてコンサートで演奏してくれました!)。
 SIJ大分の受講生は世界10ヵ国以上からやってきます。

 世界中の若い世代が、海図のない広い「学びの」海原へと自ら旅立つのをサポートできる、わくわくする学びの場所としてSIJがお役に立ちますように心から祈っています。