過去何度もあったEVブームは、
すべて空振りだった

 実のところ、「EVブーム」は、これまで過去に何度もあった。

 直近でいえば、日産のリーフや三菱のi-MiEVといったEVがリリースされた2010年前後だろう。ちょうど2008年にガソリン価格が高騰したことも手伝い、「これからはEVだ」という機運が高まった。中古車のエンジンを取り除き、モーターを組み込むというビジネスも大いに注目を集めた。

 しかし、フタを開けてみれば、日産リーフや三菱i-MiEVの売れ行きは、当初のもくろみには届かなかった。確かに、街中にEVのある風景は珍しくなくなったが、それでも普及したのかというと微妙なところ。2010年当時の熱気からすれば、肩すかしをくらったようなものだ。

 また、その前、1990年代前半もEVブームと呼ばれる時期があった。米カリフォルニアで厳しい規制が敷かれたからだ。それに対して、トヨタや日産、ホンダがEVを開発。しかし、そのときもEVが普及することはなかった。さらに時代をさかのぼれば、1970年代のオイルショック時代もEVに期待がかけられた。

 当時の通産省が音頭を取って、日本の自動車メーカーがEVを研究したが、しばらくすると石油価格が落ち着いてしまい、文字通りにプロジェクトは霧散してしまう。また第2次世界大戦の終戦直後の日本では深刻な石油不足に陥っていた。そのときは、日産のルーツのひとつである「たま自動車」が電気自動車を販売。しかし、石油の供給が順調になると、やはりEVは消えてしまったのだ。

 結局のところ、石油が安定供給されると、燃え上がったEVブームはいつも消え失せてしまう。それもこれも、EVをエンジンの自動車より安く作ることができないからだ。性能が同じなら、安いものを買う。これがユーザーの行動原理だ。しかし、EVは、エンジン車と同じ性能にすると電池をたくさん搭載しなくてはならず、そうなると、とんでもなく高額になる。電池を減らせば、期待通りの性能が発揮できなくなる。性能が劣っている製品に魅力はない。つまり、最大のネックは電池の価格なのだ。